10月30日、日本銀行は金融政策決定会合で、短期の政策金利である無担保コールレートを1.25%程度で推移するよう促す方針を決め、金利を据え置きました。
10月は世界的なリスクオフの動きもあり、相対的に安全性が高いとされる日本国債に買いが入り、市場で取引される国債の利回りは月末にかけて低下基調で推移しました。
月が替わった11月、冬のボーナスの使い道を考え始める前のこの時期、まとまったお金を「国債の利子」で増やすか、「株の配当」で受け取るかを比べている人もいるのではないでしょうか。
個人向け国債の10月募集分は10月30日で締め切られ、11月募集分の利率は11月6日に公表される予定です。
本記事では、直近の10月募集分の固定5年の利率(年2.39%)を物差しに、100万円を預けた場合の利子と、配当利回りがこの利率に近い株を並べて確かめます。
記事後半では、途中でお金が必要になったときの、国債の中途換金と株を売る場合の違いも整理します。
なお、個人向け国債はNISAの対象商品ではなく、NISA口座では買えません。国債の利子には、どの口座で受け取っても20.315%の税金がかかります。
1. 日銀は金利を据え置き、10月は国債の利回りが下がった
日本銀行が10月30日に公表した「当面の金融政策運営について」によると、次回の会合までの金融市場調節方針は、賛成8、反対1の賛成多数で決まりました。
反対した高田創委員は、無担保コールレートを1.5%程度に引き上げる議案を出しましたが、反対多数で否決されています。
一方、市場で取引される国債の利回りは、10月の1カ月で下がりました。財務省の国債金利情報によると、期間5年の国債の利回りは次のとおりです。
- 10月1日:2.407%
- 10月7日(10月募集分の利率の公表日):2.437%
- 10月30日:2.237%
10月1日と30日を比べると、0.17ポイントの低下です。期間10年の国債も、10月1日の3.092%から、30日には2.817%まで下がっています。
個人向け国債の固定5年の利率は、「基準金利-0.05%」という計算式で決まります。基準金利は、利率を決める時点の期間5年の国債の想定利回りです。
そのため、11月募集分の利率は10月募集分と同じ水準になるとは限りません。実際の利率は、11月6日の公表を待って確かめる必要があります。
2. 10月募集分の固定5年、100万円なら利子はいくらだった?
株の配当と比べる物差しとして、まず10月募集分の固定5年(第187回債)の発行条件を確かめておきます。
- 利率(税引前):年2.39%
- 利率(税引後):年1.9044715%
- 募集期間:2026年10月8日~10月30日
- 発行日:2026年11月16日
- 償還期限:2031年11月15日
- 利払日:毎年5月15日と11月15日
100万円を買って満期まで持った場合、税引前の利子は半年ごとに1万1950円、1年で2万3900円、5年間の合計で11万9500円です。
利子からは20.315%の税金が差し引かれます。5年間の合計で計算すると、手取りの利子は約9万5223円で、1年あたりに直すと約1万9044円です。
この手取りの額は、税金を5年分の合計に一度だけかけて計算した編集部の試算で、実際に受け取る額とは端数が異なる場合があります。
つまり、10月募集分の固定5年では、100万円あたりの手取りの利子は年1万9000円ほどでした。この先の章では、税引前の2.39%と、税引後の約1.90%の2つの数字を物差しにして、株の配当と比べていきます。