3.3 貯蓄と負債を並べて見えること
資産25万〜50万円の世帯から上では、階級が上がるにつれて貯蓄現在高も多くなっています。
資産の多い階級でも、負債の欄がゼロではない点は覚えておきたいところです。わが家の借入れの残高と、返し終わるまでの年数を一度書き出しておくと、貯蓄と負債のつり合いを落ち着いて見直しやすくなるでしょう。
貯蓄と負債の数字を並べてみると、資産の金額が同じくらいでも、借入れの残り方は世帯によって違うことがわかります。わが家の資産を考えるときも、合計だけでなく、借入れがいつまで残るかに目を向けておくと安心でしょう。返済が終わる時期を知っておくと、その後に貯蓄へ回せるお金の見通しも立てやすくなります。
4. 世帯主が働いているかどうかで見る
用語の解説では、世帯主が勤め人の世帯を勤労者世帯、世帯主が無職の世帯を無職世帯とし、そのどちらにも当てはまらない世帯をその他の世帯としています。同じ資産の階級でも、世帯主の働き方によって年間収入の見方は変わってきます。
4.1 世帯区分別の年間収入(階級の例と各区分の平均)
- 資産4000万〜5000万円の世帯:勤労者世帯834万6000円、無職世帯360万7000円、その他の世帯840万2000円
- 各区分の平均:勤労者世帯673万1000円、無職世帯345万6000円、その他の世帯869万8000円
4.2 勤労者世帯と無職世帯の年間収入の違い
資産4000万〜5000万円の世帯で見ると、年間収入は勤労者世帯と無職世帯で大きく違います。無職世帯は、年金などが収入の中心になっている世帯が多いと考えられます。
無職世帯の年間収入は、資産1億円以上の世帯でも524万4000円でした。同じ資産1億円以上の勤労者世帯の1037万円と比べると、少なくなっています。
勤労者世帯の年間収入は、資産25万円未満の世帯で563万8000円、資産1億円以上の世帯で1037万円でした。
その他の世帯の年間収入は、資産4000万〜5000万円の世帯で840万2000円、その他の世帯全体の平均で869万8000円でした。用語の解説によると、世帯主が会社の役員である世帯もこの区分に入ります。さまざまな働き方の世帯が含まれるため、数字の幅には気をつけたいところです。
同じ階級でも、働いているかどうかで年間収入は大きく変わります。わが家の数字と照らし合わせるときは、世帯主の働き方も合わせて見ておくことが大切です。仕事を離れる時期が近い世帯は、収入が減ったあとも暮らしを続けられるかを、資産の中身とあわせて考えておきたいところです。
世帯区分ごとの数字は、働き方による違いを知るための目安です。わが家の働き方がこの先どう変わりそうかを、家族で一度話しておくだけでも、数字の見え方は変わってくるはずです。
収入の形は、働き方が変われば大きく変わります。数年先の働き方を思い描きながら、いまの資産をどう使っていくかを考えておくと安心でしょう。
5. 【わが家の位置を確かめる】年間収入と純資産を並べてみる
表と同じ物差しでわが家を見るには、年間収入と純資産の2つを用意します。
5.1 年間収入は税込みの金額で
この調査の年間収入は税込みなので、手取りではなく、税金や社会保険料が引かれる前の金額でそろえます。夫婦で働いている場合は、2人分を合わせた世帯の金額にしておきましょう。
年金を受け取っている世帯は、年金の金額も年間収入に含めて考えます。副業などの収入がある場合も、税込みの金額で加えておきましょう。
5.2 純資産は、借入れを差し引き、住まいを加える
預貯金や保険、株式などの残高から、住宅ローンなどの借入れの残高を差し引きます。持ち家の場合は、そこに住まいの価値を加えると、表の階級に近い考え方で純資産をつかめます。
住まいの価値は見積もり方で大きく変わるので、まずは金融資産と借入れの差だけで考え、住まいは幅をもって見ておくとよいでしょう。金額を出したら、日付と一緒にメモに残しておくと、あとで見直すときの手がかりになります。
5.3 位置よりも、収入と資産の組み合わせを見る
わが家の数字が表の平均より多いか少ないかより、収入に対して貯蓄や借入れがどのくらいあるかに目を向けると、家計の見直しどころが見えてきます。数字を並べるだけでも、家計のどこから手をつけるとよいかが整理しやすくなるでしょう。
数字が思っていたより小さくても、まずは現状を知ることが、次の一歩を考える手がかりになるでしょう。
たとえば、年間収入は平均に近いのに借入れが大きい場合は、返済の計画を見直すきっかけになります。貯蓄は多くても収入が減る時期に入っているなら、取り崩し方を考えておく必要があるでしょう。
6. まとめにかえて
資産の金額ごとに見ると、資産4000万〜5000万円の世帯の1世帯当たり年間収入は639万5000円で、全世帯の平均は596万8000円でした。
令和6年全国家計構造調査の表からは、資産の階級が上がるにつれて年間収入もおおむね多くなる一方、住宅ローンを抱えて純資産が小さく出ている世帯もあると考えられます。資産と収入は結びついていますが、住まいの有無や働き方、年齢によって組み合わせはさまざまです。
一覧の数字は、ほかの世帯と比べて安心したり焦ったりするためのものではなく、わが家の家計を見直す材料として使いたいところです。
調査の資産と負債は2024年10月末時点の金額です。株価や住宅価格はその後も動いているため、わが家の数字は、いまの残高で確かめる必要があります。
まずは年間収入と、金融資産から借入れを差し引いた金額の2つを書き出し、表の近い階級と並べてみてはいかがでしょうか。収入と資産のどちらに手を入れるとよいかが見えてくると、この先の家計の方針を立てやすくなります。数字の大きさより、わが家にとって無理のない増やし方を考えるきっかけにしたいところです。
参考資料
宮野 茉莉子