3. MRFの分配金にかかる税金は?預金の利子と同じ利子所得で20.315%

MRFの分配金は、税金の上では預金の利子と同じ「利子所得」です。国税庁「No.1310 利子所得」では、利子所得を「預貯金および公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得」としています。

  • 【預金の利子】所得税15.315%と地方税5%が差し引かれる源泉分離課税で、確定申告はできない
  • 【公社債投資信託の分配金・個人向け国債の利子】同じ税率の申告分離課税の対象で、確定申告しないことも選べる

どれも受け取るときに合計20.315%が差し引かれるため、税引き後の受取額の差は、税引き前の利回り・金利の差でほぼ決まります。

4. MRFと預金・個人向け国債で、元本と引き出しやすさはどう違う?

MRFを預金や個人向け国債と比べるときは、受取額だけでなく、元本の扱いと引き出しやすさも並べておきたいところです。

  • 【普通預金】預金保険の対象で、1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1000万円までと破綻日までの利息等が保護される
  • 【MMF・MRF】元本保証ではなく、預金保険の対象外。運用の結果によっては元本を下回ることがある。換金の申し込み方法や受け渡しの日は、販売会社の説明で確かめる
  • 【個人向け国債(変動10年)】償還金額は額面100円につき100円(中途換金時も同じ)。発行後1年間は原則として中途換金できず、その後の中途換金では直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる。利率には年0.05%の下限がある

個人向け国債を発行から1年たったところで換金すると、差し引かれる額は受け取った2回分の利子(税引き後)とほぼ同じになるため、1年で使う予定のあるお金では試算の約11.6万円は残りません。

5. 【元債券記者の視点】検証:MRFの利回りは短期金利の動きで変わる

MRFの利回りが年1%台になった背景には、短期金利の上昇があります。日本銀行は2026年9月の金融政策決定会合で、短期金利(無担保コールO/N物)の誘導目標を「1.0%程度」から「1.25%程度」に引き上げました。

公社債投資信託は、満期の短い債券やコールローンなどで運用するため、短期金利が上がれば利回りは上がりやすく、下がれば下がりやすい商品です。運用の費用も差し引かれるため、短期金利の水準がそのまま利回りになるわけではありません。

ここで見ておきたいのは、公表されている利回りが「過去7日間の実績」だという点です。各社とも、将来の運用実績を約束するものではないと断っています。預金の店頭金利のように、預け入れたときの約束とは性質が違います。

個人向け国債(変動10年)の利率も、基準金利×0.66で半年ごとに見直されます。試算では今回の利率が1年続くと置きましたが、実際の受取額は2回目以降の利率で変わります。

債券市場を取材してきた立場から見ると、利回りの数字を比べる前に「その数字は約束か、実績か」を確かめることが、MRFのような商品と付き合ううえで知っておきたい点です。

6. まとめ

MMF・MRFは株式を組み入れない公社債投資信託で、リスクの低い運用をしていても元本保証ではなく、預金保険の対象外です。2026年11月4日時点では、個人向けの円建てMMFの募集は公表されておらず、個人が使える同じ種類の商品はMRFです。

預金から移すことを考えるときは、利回りの差に加えて、元本の守られ方と引き出しやすさを並べて考えることになります。購入を検討するときは、販売する証券会社の窓口で目論見書の内容を確かめ、一般的な相談なら金融経済教育推進機構(J-FLEC)の相談窓口も使えます。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。利回り・金利は時点によって変わります。実際の受取額や税金の扱いは、取引する金融機関や税務署でご確認ください。

参考資料

高原 祥子