ここからは、年金暮らしで家計が「苦しい」と感じたときに確かめておきたいことを、筆者の経験からお伝えします。
4. 【元公務員の視点】年金は額面より「手取り」で見る
筆者が元公務員として国民健康保険と後期高齢者医療制度を担当していた頃、窓口では「天引き額が急に上がった」という相談が多くありました。65歳以上の人の年金からは、介護保険料や医療保険の保険料、所得税、住民税などが差し引かれることがあるためです。
この記事で見た厚生年金の平均月額も、天引きされる前の額面の金額です。家計を見直すときは、実際に口座に振り込まれる「手取り」の額を基準にすると、毎月使えるお金がつかみやすくなります。
年金暮らしの家計で、まず確かめておきたいのは次の3つです。
4.1 年金振込通知書の内訳
年金振込通知書は、毎年6月ごろに日本年金機構から届きます。1回に振り込まれる年金の額に加えて、差し引かれる介護保険料や医療保険の保険料、税金の内訳が載っているのです。
年の途中で保険料が変わると、振込額も変わることがあります。通知書は捨てずに保管し、通帳の入金額と見比べておくと安心です。
4.2 保険料の軽減
国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料は、世帯の所得が一定以下だと、加入者1人ごとにかかる「均等割」が軽減されます。軽減の判定には世帯の所得が使われるため、所得の申告をしていない人がいると、正しく判定されないことがあります。
収入が年金だけの人でも、軽減の対象になることがあります。保険料の通知書を見て気になる点があれば、お住まいの市区町村の窓口でたずねてみてください。
4.3 ねんきんネットでの確認
日本年金機構の「ねんきんネット」では、これまでの年金記録や、送られてきた通知書の内容をインターネットで確かめられます。紙の通知書をなくしてしまったときにも役立ちます。
5. まとめにかえて
男性の厚生年金は、受給権者の約7割が月15万円以上を受け取っています。それでも、2025年の国民生活基礎調査では、高齢者世帯の52.1%が生活を「苦しい」と感じていました。
来月12月15日には、10月分と11月分の年金が振り込まれます。年金の額や天引きの内訳で分からないことがあれば年金事務所に、保険料のことはお住まいの市区町村の窓口に、早めに相談してみてください。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査の概況(各種世帯の所得等の状況)」
- 厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況(各種世帯の所得等の状況)」
- 厚生労働省「2023年 国民生活基礎調査の概況(各種世帯の所得等の状況)」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
太田 彩子