3.2 世帯主の年齢も、地方によって少しずつ違う
家計調査(貯蓄・負債編)によると、二人以上の世帯の世帯主の平均年齢は、全国で60.3歳でした。地方ごとに見ると57.4歳から63.5歳まで幅があります。
世帯主の年齢が高めの地方では、退職金を受け取ったあとの世帯や、年金で暮らす世帯が多く含まれていると考えられます。反対に、年齢が低めの地方では、子育てや住宅ローンの返済が続いている世帯が多いのかもしれません。
年代によって、貯蓄が積み上がる時期と、取り崩しが始まる時期があると考えられます。地方の平均を見るときは、その地方の世帯主の年齢も頭に入れておくと、数字の違いを読み違えにくくなるでしょう。
年間収入と負債を並べると、同じ地方の中でも、収入に対してどのくらいの借入れを抱えているかの見当がつきます。ローンの返済は毎月の家計に直接かかわるため、貯蓄の多さだけで家計のゆとりを判断しないことが大切です。
住宅ローンを返している世帯では、貯蓄と負債を差し引いて考える必要があります。貯蓄の金額だけでなく、ローンの残高と返し終える時期もあわせて見ておきたいところです。
4. 【わが家と比べるときに】地域の暮らし方と、貯蓄の中身を書き出す
地方別の平均を見たら、わが家の数字に置きかえて考えてみましょう。
4.1 住まいや車など、地域ならではの出費を書き出す
同じ地方でも、車が欠かせない地域か、電車で暮らせる地域かで、毎月の出費は変わります。住まいの家賃やローン、車の維持費など、わが家ならではの出費を書き出すと、平均と比べるときの物差しができます。
出費の中身がわかると、どのくらいを貯蓄に回せそうかの見当もつけやすくなるでしょう。地域ならではの出費は削りにくいものが多いため、それ以外の出費から少しずつ見直していくほうが、無理なく続けやすいと考えられます。
4.2 住む地域を変えるときは、家計の見通しも立て直す
転勤や移住、実家の近くへの引っ越しなどで住む地域が変わると、住まいの費用や車の必要性、物価なども変わります。新しい地域での暮らしを思い描きながら、毎月の出費と貯蓄に回せる金額を見積もり直しておきたいところです。
移住を考えるときは、収入がどう変わるかも大切な点です。働き方が変わると年間収入も変わるため、住まいの費用が下がっても、貯蓄に回せる金額が増えるとは限らないことを頭に入れておきたいところです。家族でよく話し合いながら、無理のない計画を少しずつ立てていきましょう。
引っ越しの前後は、まとまったお金が出ていく時期でもあります。引っ越し代や家具の買い替えなどを前もって書き出し、貯蓄から出す分と毎月の家計でまかなう分を分けておくとよいでしょう。
4.3 預貯金と有価証券、ローンの残高を並べる
貯蓄を預貯金と有価証券に分け、住宅ローンなどの残高も同じ紙に並べてみましょう。貯蓄から負債を差し引いた金額を出しておくと、わが家の実際のゆとりが見えやすくなります。
地方の平均と見比べるときは、平均の貯蓄から平均の負債を差し引いた数字も目安になります。ローンの残高が大きい時期は、貯蓄が平均より少なく見えても、返済が進むにつれて差し引きの金額は少しずつ変わっていくものです。
地方の平均より少ないと感じても、ローンの返済が進んでいたり、子育ての時期で出費が重なっていたりと、事情は家庭ごとに違います。数字の背景にあるわが家の事情を、一緒に書き添えておくとよいでしょう。
有価証券の金額は、値動きによって変わります。数字を書き出す日を決めておくと、前の年と比べるときにも条件をそろえやすいと考えられます。
5. まとめにかえて
2026年4〜6月期の家計調査で地方別の貯蓄を見ると、関東地方は2428万円、近畿地方は2363万円でした。都市の大きさ別では、大都市が2473万円です。
地方ごとの数字をながめると、住む場所によって暮らしの形が違うことがあらためて見えてきます。大切なのは、平均に追いつくことよりも、わが家の暮らしに合った貯蓄の目標を持つことではないでしょうか。
同じ地方でも、都市の大きさや住まいの形、世帯主の年齢によって家計の姿はさまざまです。平均の数字は、わが家の位置を決めるものではなく、家計を見直すための材料のひとつといえるでしょう。
わが家の事情に合わせて、上手に役立てていきたいところです。数字に振り回されず、家族の暮らしを大切にしながら考えていきましょう。
貯蓄の平均は、四半期ごとに公表されます。季節や相場の動きで数字が変わることもあるため、一度の結果だけで判断せず、わが家の数字の変化とあわせて見ていくことが大切だと考えられます。
地域の平均は、さまざまな暮らし方の違いをならした数字です。わが家と比べるときは、収入や負債、住まいの事情、家族の人数もあわせて考えることが大切でしょう。
まずは、わが家の預貯金と有価証券、ローンの残高を書き出してみてはいかがでしょうか。地域の数字と並べることで、これからの貯め方を考えるヒントが見つかるかもしれません。
毎年同じ時期に書き出していけば、わが家の貯蓄の歩みもひと目でわかるようになるでしょう。小さな積み重ねでも、記録が続けば、これからのお金の計画を立てるときの手がかりのひとつにできます。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)調査結果」
- 総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)2026年4~6月期 第8-1表 都市階級・地方・都道府県庁所在市別」
- 総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)の概要」
宮野 茉莉子