4.3 書き出した数字を、次の一年の計画につなげる
書き出した数字は、何かあったときに備えて可能な範囲で家族とも共有しておきたいところです。どの口座に何があり、どの借入れがいつまで続くのかを家族が知っていれば、いざというときにも慌てずにすむでしょう。
資産の中に、すぐには現金にしにくい住まいや、値動きのある株式・投資信託がどのくらい含まれているかも確かめておきたいところです。急な出費に備えるお金は、すぐに引き出せる預貯金で用意しておくと安心でしょう。
書き出してみると、貯蓄は多いのに負債も残っている、住まい以外の資産が少ない、といったわが家の特徴が見えてきます。特徴がわかれば、繰上げ返済を考えるのか、貯蓄を増やすのかなど、次の一年の方針も決めやすくなるでしょう。
年に一度、同じ時期に書き出しておけば、純資産がどう変わってきたかも見えてきます。資産の大きさを他の世帯と比べるより、わが家の暮らしに合った増やし方や使い方を考えるきっかけにしたいところです。
5. まとめにかえて
資産1億円以上の世帯の1世帯当たり年間収入は940万1000円、貯蓄現在高は7797万6000円でした。全国家計構造調査(2024年)で、全世帯の平均の年間収入は596万8000円です。
資産の多さは、毎年の収入だけでなく、住まいや長年の貯蓄、働き方によって形づくられていることがうかがえます。数字の大きさに目を奪われるより、わが家の資産がどんな中身でできているかを知っておくと、この先の家計の方針も決めやすくなるでしょう。
今回の結果は、2024年10月末時点の資産を調べたものです。その後の物価や株価、住宅価格の動きによって、いまの資産の姿は変わっている可能性もあります。わが家の数字は、いまの時点で書き出し、この先の計画を考える材料にしたいところです。
資産の金額で世帯を分けた表からは、同じ階級の中にも、働き方や世帯の人数によってさまざまな暮らしがあることが見えてきます。平均の数字は、わが家の位置を決めるためではなく、家計を見直すきっかけとして使いたいところです。
資産の大小は、これまでの働き方や住まいの選び方、家族の事情が重なった結果でもあります。ほかの世帯と比べて焦るより、わが家にとって必要なお金がいくらかを考えることを大切にしたいところです。必要なお金の目安がわかれば、いまの貯蓄で足りるのか、どのくらい上乗せするのかも考えやすくなります。
まずは、金融資産と負債、住まいを1枚の紙に書き出してみてはいかがでしょうか。来年の同じ時期にもう一度書き出せば、わが家の資産がどう変わったかがわかり、次の一年に何を優先するかも決めやすくなります。小さな変化でも、続けて記録することに意味があります。
参考資料
宮野 茉莉子