4. 【元銀行員の視点】老齢基礎年金に上乗せする手段は「付加年金」と「iDeCo」

ここからは、老齢基礎年金だけでは心もとないと感じる場合の備えを考えます。

銀行で資産運用の相談を受けていた頃、iDeCoに加入できる人の範囲が広がった時期と重なり、iDeCoについて尋ねられることがありました。自営業の方からは、「国民年金だけでは老後が心もとない」という声を聞くこともあったように思います。

国民年金の第1号被保険者が老齢基礎年金に上乗せする方法には、次のようなものがあります。

  • 付加年金:月400円の付加保険料を納めると、「200円 × 付加保険料を納めた月数」の年金が老齢基礎年金に上乗せされる
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):自分で掛金を出して運用し、原則60歳以降に受け取る

iDeCoの掛金は、国民年金保険料とは別の「小規模企業共済等掛金控除」の対象で、支払った全額が控除されます。ただし、運用の結果によっては受け取る額が掛金を下回ることもあり、原則60歳まで引き出せない点は押さえておきたいところです。

付加保険料は、保険料の免除や納付猶予を受けている人、国民年金基金に加入している人は納められません。自分が使える制度かどうかを先に確かめておきましょう。

5. ねんきん定期便で見ておきたい2つの月数

老齢基礎年金の見込みをつかむために、手元で見ておきたい点を挙げます。

5.1 保険料を納めた月数

これまでの納付済の月数は、毎年誕生月に届くねんきん定期便や、ねんきんネットで確認できます。480か月との差が分かれば、満額からどのくらい離れているかの目安になります。

5.2 免除や猶予を受けた月数

免除や学生納付特例、納付猶予を受けた月がある場合は、その月数も記録に残っています。追納していない月がどれだけあるかを、あわせて見ておくことをおすすめします。

6. 受給資格の「10年」と年金額の「月数」は別に数える

老齢基礎年金を受け取るには、保険料納付済期間と免除期間などを合わせた受給資格期間が10年以上必要です。受給資格期間は、平成29年8月1日から10年に短縮されました。

ただし、受給資格期間に数えられる月と、年金額に反映される月は同じではありません。学生納付特例や納付猶予の期間は、受給資格期間には数えられても、追納していなければ年金額には反映されません。

「10年を満たしているから大丈夫」と考えず、年金額に反映される月数まで確かめてください。追納の手続きや期限は、年金事務所で確認できます。

7. 控除証明書が届いたら、老齢基礎年金の月数も見直す

令和8年1月から9月に国民年金保険料を納めた人には、控除証明書が11月上旬までに順次届きます。記載された保険料は、老齢基礎年金の額を決める納付の記録でもあります。

令和8年度の満額は年84万7300円で、1か月納めるごとに年約1765円が積み上がる計算です。全額免除の月は2分の1で反映され、学生納付特例や納付猶予の月は追納しない限り年金額に入りません。

年金の記録で分からないことがあれば、年金事務所やねんきんダイヤルに相談してみてください。

※記事内の年金額は、令和8年度の満額をもとにした試算です。実際の年金額は、免除の期間や生年月日などによって異なります。控除や年金の扱いは個別の事情で変わることがあるため、勤務先・税務署・年金事務所でご確認ください。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料

中本 智恵