さて、その国産ワインですが、昨年(2018年)10月から「果実酒等の製法品質表示基準(国税庁告示)」に従って、ワイン産地の表示方法が厳格化されました。

まず、国内で製造されたワインについて「日本ワイン」とその他の「国産ワイン」を明確に区別することになりました。「日本ワイン」というのは、日本国内で栽培されたブドウのみを原料として、日本国内で醸造されたもの。「国産ワイン」は、海外から輸入したブドウや濃縮果汁を使って国内で製造されたものです。

また、「日本ワイン」に限り、条件を満たせば地名を表示することができます。具体的には、〇〇という産地で採れたブドウを85%以上使用していれば「〇〇ワイン」というように産地を表記できます。

つまり、従来は「〇〇ワイン」といったご当地ワインでも、ブドウは✕✕産(例:山梨県産)だったケースが少なくなかったのです。つまり、単に製造しただけの地域をワイン名として表示することが禁止されたと考えていいでしょう。

また、近年は「日本ワイン」の人気が高まりを見せています。その背景にはワイン特区という構造改革特区制度における酒税法の特例措置により、小規模ワイナリーが全国的に増えていることがあります。

こうした新しいワイナリーでは、おいしさを追求する一方で、農薬や亜硫酸(酸化腐敗防止のための食品添加物)を極力使わない努力をしているところが少なくありません。また、小規模であるゆえに人気が出た造り手のワインはあっという間に売り切れ、入手困難なものもある状態です。

実は、上記の規制は海外ではとうの昔に実施済みですが、ようやく日本でも適用されるに至りました。それは、これから日本からワインを輸出していく上で、世界と同じルールにする必要があったためですが、遅過ぎると言えば遅過ぎます。

海外ではワイン産地の正確な表示を厳しく求められます。そして、輸出云々の前に、この産地表示の厳格化が、人気を高めつつある日本ワインの需要動向にどのような影響をもたらすのか注視したいところです。

葛西 裕一