60代になってからの再婚や、籍を入れない事実婚を考える人もいるかもしれません。暮らしは同じでも、相続では、婚姻の届出をしているかどうかで扱いが大きく変わります。
証券会社で資産運用のご提案をしていた経験からお伝えすると、資産の多い少ないにかかわらず、「誰が相続人になるか」は家族の形によって決まり、あとから変えにくいものです。ここでは、事実婚のパートナーと、再婚した場合の前の結婚で生まれた子の相続を、法律婚と比べて整理します。
遺産5000万円を、パートナーと前の結婚で生まれた子1人が半分ずつ受け取る場合に、法律婚と事実婚で相続税がいくら変わるかを試算しました。
※相続人の範囲と相続税の計算は、国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」「No.4152 相続税の計算」「No.4157 相続税額の2割加算」「No.4158 配偶者の税額の軽減」(いずれも令和8年4月1日現在法令等)にもとづいています。
1. 事実婚のパートナーは相続人になれる?内縁関係の人は相続人に含まれず、遺言がなければ遺産を受け取れない
国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」によると、亡くなった人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、子、直系尊属(父母など)、兄弟姉妹の順で相続人になります。内縁関係の人は相続人に含まれません。
- 【法律婚の配偶者】常に相続人。子がいる場合の法定相続分は2分の1
- 【事実婚(内縁)のパートナー】相続人に含まれない。遺言で財産を受け取る(遺贈)ことはできる
- 【前の結婚で生まれた子】亡くなった人の子として相続人になる
事実婚のパートナーに財産を残したい場合は、遺言で遺贈することになります。遺言がなければ、遺産は相続人である子などが受け取ります。
2. 相続税はいくら変わる?遺産5000万円を半分ずつなら、法律婚は合計40万円、事実婚は合計176万円
遺産5000万円を、パートナーと前の結婚で生まれた子1人が2500万円ずつ受け取る場合の相続税は、次のとおりです。
- 【法律婚】相続税の総額80万円。配偶者は「配偶者の税額の軽減」で0円、子は40万円で、合計40万円
- 【事実婚(遺言でパートナーに2500万円を遺贈)】相続税の総額160万円。パートナーは2割加算で96万円、子は80万円で、合計176万円
- 【事実婚(遺言なし)】パートナーは0円で受け取れない。子が5000万円を受け取り、相続税は160万円
同じ5000万円を同じように分けても、事実婚の場合は合計で136万円多くなり、パートナー自身の相続税は0円から96万円になる計算です。
※試算の前提:亡くなった人の相続人は、法律婚の場合は配偶者と子1人、事実婚の場合は子1人。基礎控除は3000万円+600万円×法定相続人の数(法律婚4200万円、事実婚3600万円)。事実婚のパートナーには配偶者の税額の軽減を使わず、2割加算をするものとして計算しています。
例)遺産5000万円をパートナーと前の結婚で生まれた子が半分ずつ受け取る場合 法律婚と事実婚の相続税1/1
出所:国税庁「No.4152 相続税の計算」、国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」をもとにLIMO編集部作成