5. 50歳からのNISAの取り崩し中に値下がりしたら?65歳になった直後に20%下がると約85歳、80歳になった直後なら約90歳で残高がなくなる
運用を続けながら取り崩す場合は、値下がりの時期で残高のもち方が変わります。仮に、毎月1万円を取り崩して年3%で運用を続ける前提のまま、一度だけ残高が20%下がった場合を比べると次のとおりです。
- 【値下がりがない場合】約93歳で残高がなくなる
- 【65歳になった直後に20%下がる】残高が約45.4万円減り、約85歳で残高がなくなる
- 【80歳になった直後に20%下がる】残高が約25.8万円減り、約90歳で残高がなくなる
同じ20%でも、取り崩しを始めたばかりで残高が大きい時期ほど、減る金額が大きくなります。65歳以降に増える分が大きいということは、65歳以降の値動きの影響も受けるということです。
※試算の前提:値下がりは一度だけとし、その前後は仮に年3%(月複利)で運用できるものとします。将来の値動きを予測するものではありません。
6. 【証券会社出身の視点】検証:50歳からのNISAは、65歳までの15年ではなく、取り崩しまで含めた40年前後の運用として見る
この記事では、50歳から毎月1万円をNISAで積み立てた場合の65歳時点の額と、運用で増える分のうち取り崩し期間に生まれる割合、取り崩し方による残高の違い、売ったときに非課税投資枠が戻る仕組みをご紹介しました。
記事の数字は毎月1万円あたりなので、毎月3万円を積み立てて毎月3万円を取り崩すなら金額は約3倍になりますが、残高がなくなる年齢と「約7割」という割合は変わりません。一方で、年3%は仮に置いた利回りで、毎年同じように増えることはありません。NISAで購入する投資信託や株式などは元本が保証されておらず、値動きにより元本を下回る(元本割れする)ことがあります。利回りを変えると、割合と年齢も変わります。
50代からの資産形成は、「いつまでに増やすか」より「いつから、どのくらいずつ使うか」を先に考えると、計画を立てやすくなります。使い始める時期が近いお金ほど、値下がりしたときに売る時期を選びにくくなるためです。
確認していただきたい観点を、順に整理します。第一に、65歳以降の年金と生活費の差が毎月いくらか。第二に、取り崩しを金額で決めるか、何歳まで使うかの期間で決めるか。第三に、数年のうちに使う予定のお金を、NISAとは別に預金などで分けておけるかです。
毎月いくら、何歳まで取り崩すかが決まると、65歳までに毎月いくら積み立てるか、つみたて投資枠と成長投資枠をどう使うかも決めやすくなります。50歳から始めるNISAは、65歳をゴールではなく通過点として見ておくと、取り崩し方の選択肢を並べやすくなるかもしれませんね。
7. まとめ
NISAは非課税保有期間が無期限です。50歳から毎月1万円を積み立てると、仮に年3%で65歳時点の残高は約227.0万円で、同じ額ずつ取り崩すと約93歳まで運用が続きます。増える約155.6万円のうち約7割は、65歳からの取り崩し期間に生まれる計算です。
取り崩しの期間に運用しなければ残高は約84歳になる前になくなり、65歳の平均余命までに使い切るなら毎月約1.09万〜1.27万円です。売った分の枠は翌年以降に簿価の分だけ戻ります。NISAの制度は金融庁「NISA特設ウェブサイト」で確かめることができます。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算で、将来の運用成果を示したり保証したりするものではありません。本記事は特定の金融商品や投資をすすめるものではありません。NISAの制度の最新の情報は、金融庁のホームページでご確認ください。
参考資料
安達 さやか