6. 出産費用とは別に受け取る出産祝いに贈与税はかかる?個人からの祝物などで社会通念上相当と認められるものはかからない

国税庁のタックスアンサー「No.4405 贈与税がかからない場合」では、個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるものには贈与税がかからないとしています。

友人から受け取る出産祝いは、この祝物にあたります。社会通念上相当と認められる範囲であれば、受け取る側に贈与税はかかりません。

7. 【元FP会社職員の視点】検証:出産費用の差額と贈与金の平均は別の物差しで、出産祝いの額を決めるのは相手との関係

試算から見えることの1つ目は、受け取る側の事情が地域で大きく違うことです。出産費用の平均が出産育児一時金を上回る額は、全国平均で約3.2万円、東京都で約16.0万円、神奈川県で約9.9万円で、熊本県では平均が一時金の範囲に収まります。

2つ目は、贈る側の家計の贈与金の平均にも年代で差があることです。世帯主が30代の世帯の贈与金の平均は月2426円で、70歳以上の世帯の約4分の1です。ただし、この額には出産祝い以外の祝儀や香典も入り、友人の人数によっても変わります。

保険の手続きに関わっていた頃も、出産育児一時金で出産費用がまかなえるかどうかは、関心の集まりやすい点だと感じていました。令和6年度の正常分娩では、出産費用が出産育児一時金を上回ったのは61%で、室料差額なども含めた負担額では83%です。一時金があっても、多くの家庭で出産費用の一部は自分たちで負担していることになります。

数字の読み方としては、出産費用の差額は受け取る側の家計の話、贈与金の平均は贈る側の家計の話で、別々の物差しです。どちらかの数字からお祝いの額が決まるわけではなく、2つを並べると、お互いの家計の状況が見えやすくなる、という程度に私は受け止めています。

お祝いの額を決めるのは、最終的には相手との関係やこれまでのやり取りです。正解は一つではありません。ご自身の家計の贈与金の総額を年に一度書き出してみると、ご家庭のペースで無理のない額を考えやすくなるかもしれませんね。

8. まとめ

正常分娩の出産費用の平均は令和6年度に全国で51万9805円となり、出産育児一時金のうち出産費用にあたる48.8万円を約3.2万円上回りました。

東京都では約16.0万円、神奈川県では約9.9万円上回り、熊本県では平均が一時金の範囲に収まります。

贈る側では、世帯主が30代の世帯の祝儀などの贈与金の平均は月2426円です。出産費用の自己負担をなくす新しい仕組みは2026年6月に法律が公布され、金額や始まる時期の検討が続いています。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。出産費用は正常分娩の都道府県別の平均で、実際の費用は施設や出産の状況によって異なります。出産育児一時金や新しい給付の内容は、加入している健康保険や厚生労働省の資料、家計の値は総務省統計局「家計調査」でご確認ください。

参考資料

下村 美乃莉