出産費用は出産育児一時金でまかなえるのか、気になる方もいるかもしれません。出産費用と出産育児一時金にはどちらも国が公表している数字があり、令和6年度の正常分娩では、出産費用の平均が出産育児一時金を上回っています。

保険の手続きやマネーセミナーの運営補助に携わっていた頃から、出産のお金は出産育児一時金とあわせて話題にのぼることが多いと感じてきました。ここでは、出産費用の平均と出産育児一時金の差を、全国と都道府県別に整理します。

出産のお祝いを考えるときにも、受け取る側の出産費用と、贈る側の家計の数字が材料になります。あわせて、家計調査で祝儀などの現金にあたる贈与金の平均を、世帯主の年齢別に並べます。

※出産費用は、厚生労働省「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」(第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1)の令和6年度の正常分娩の平均出産費用です。家計の値は、総務省統計局「家計調査(家計収支編)2025年」の二人以上の世帯の世帯主の年齢階級別の1か月平均で、単身世帯は含みません。

1. 出産費用は出産育児一時金でまかなえる?正常分娩の平均は51万9805円で、出産育児一時金のうち出産費用にあたる48.8万円を約3.2万円上回る

出産費用は、厚生労働省によると令和6年度の正常分娩の全国平均で51万9805円でした。令和5年度の平均は50.7万円で、厚生労働省の資料でも、出産費用は年々上昇しているとされています。

出産育児一時金は、2023年4月から原則50万円です。このうち1.2万円は産科医療補償制度の掛金分で、出産費用にあてられるのは48.8万円です。厚生労働省の集計の「出産費用」は掛金や室料差額などを除いた額なので、48.8万円と比べると、全国平均で約3.2万円が出産育児一時金で足りない計算です。

  • 【出産費用の平均(全国)】51万9805円
  • 【出産育児一時金のうち出産費用にあたる額】48.8万円(50万円から掛金分1.2万円を除いた額)
  • 【出産育児一時金で足りない額】約3.2万円

令和6年度に正常分娩で出産した人のうち、出産費用が出産育児一時金を上回ったのは61%でした。室料差額なども含めた妊婦の負担額で比べると83%です。かかった費用が出産育児一時金を下回った場合は、差額が支給されます。

※出産費用は、妊婦の負担額の合計から「室料差額」「産科医療補償制度掛金」「その他」を除いた額です。異常分娩で保険診療を受けた出産は含みません。

2. 出産費用は住む地域でどれだけ違う?出産育児一時金で足りない額は東京都で約16.0万円、神奈川県で約9.9万円、熊本県は平均が一時金の範囲内

出産費用の平均を都道府県別に見ると、最も高い東京都と最も低い熊本県の差は約24.4万円です。主な地域の出産費用の平均と、出産育児一時金で足りない額は次のとおりです。

  • 【東京都(最も高い)】出産費用64万8309円で、出産育児一時金で足りない額は約16.0万円
  • 【神奈川県】出産費用58万6664円で、足りない額は約9.9万円
  • 【全国平均】出産費用51万9805円で、足りない額は約3.2万円
  • 【大阪府】出産費用49万2842円で、足りない額は約0.5万円
  • 【熊本県(最も低い)】出産費用40万4411円で、出産育児一時金の範囲に収まる

同じ正常分娩でも、出産育児一時金で足りるかどうかは、出産する地域によって大きく変わります。

※試算の前提:足りない額は、令和6年度の正常分娩の都道府県別の平均出産費用から、出産育児一時金のうち掛金分を除いた48.8万円を差し引いた額です。帝王切開などの異常分娩、室料差額、妊婦健診の費用は含めていません。

例)正常分娩の出産費用(令和6年度) 都道府県別の平均と、出産育児一時金で足りない額1/1

例)正常分娩の出産費用(令和6年度) 都道府県別の平均と、出産育児一時金で足りない額。出産育児一時金のうち出産費用にあたる48.8万円との差(掛金分を除く)。東京都は平均64万8309円で足りない額は約16.0万円、神奈川県は58万6664円で約9.9万円、全国平均は51万9805円で約3.2万円、大阪府は49万2842円で約0.5万円、熊本県は40万4411円で一時金の範囲内。

出所:厚生労働省「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」(第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1)、厚生労働省「出産育児一時金等について」をもとにLIMO編集部作成