子どもが独立した50代になると、生命保険の死亡保障をこのまま続けるか、保険料を老後資金に回すかを考える方もいるかもしれません。生命保険の死亡保障の額は、遺された配偶者の生活費と、遺族年金・貯蓄との差から見積もることができます。
保険の手続きや問い合わせ対応に携わっていた頃から、死亡保障の額は、保険料の高い安いより先に「遺族年金で足りない生活費が何年分あるか」で見ると整理しやすいと感じてきました。ここでは、その差を公的な統計と制度の額で確かめます。
例にするのは、夫婦とも55歳、夫が会社員で妻が専業主婦の世帯です。夫が亡くなった場合の遺族年金と妻ひとりの生活費の差、50代の平均の貯蓄を差し引いた額を試算し、保険料を仮に月2万円として65歳まで老後資金に回した額と並べます。
※年収597万円は、国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」の1年を通じて勤務した男性の平均給与です。妻ひとりの生活費は、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」の65歳以上の単身無職世帯の消費支出と非消費支出の合計です。
1. 50代の遺族年金はいくら?夫が55歳で亡くなると、18歳までの子がいない妻は65歳まで年約144.5万円、65歳から年約165.7万円
日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」によると、遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない妻には、65歳になるまで中高齢寡婦加算として年63万5500円(令和8年度)が加算されます。
子どもが独立した50代の夫婦で、年収597万円の夫が55歳で亡くなった場合、妻が受け取る遺族年金は次のとおりです。
- 【遺族厚生年金】年約81.0万円(月約6.7万円)
- 【55歳から65歳まで】遺族厚生年金+中高齢寡婦加算で年約144.5万円(月約12.0万円)
- 【65歳から】遺族厚生年金+妻自身の老齢基礎年金で年約165.7万円(月約13.8万円)
65歳からは中高齢寡婦加算がなくなり、妻自身の老齢基礎年金に替わります。老齢基礎年金は、令和8年度の満額の月7万608円で計算しています。
※試算の前提:夫は22歳から55歳まで33年間(396月)厚生年金に加入し、在職中に亡くなったものとします。年収597万円を12で割った約49.8万円を平均標準報酬額とし、平成15年3月以前の期間がないものとして、平成15年4月以後の乗率(1000分の5.481)で計算しました。
妻は自身の厚生年金がなく、国民年金の加入期間40年をすべて満たしているものとします。夫は保険料の納付要件を満たしているものとしています。