5. 税務調査の前に自分で直したら?調査の通知前なら過少申告加算税はかからない

経費の計上に誤りがあったと気づいたら、税務調査を待たずに修正申告をする方法があります。国税通則法第65条では、修正申告の時期によって過少申告加算税の扱いが変わります。

  • 【調査の通知前】過少申告加算税はかからない
  • 【調査の通知後、否認を予知する前】5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)
  • 【調査で否認を予知したあと】10%(同じく超える部分は15%)

ただし、自分で修正申告をしても、本税と延滞税は納める必要があります。延滞税は納付が遅れるほど増えるため、気づいた時点で早めに直すことが負担を抑えることにつながります。

6. 【証券会社出身の視点】検証:経費にして減る税金は支出の約3割にとどまる

「経費にすれば得になる」と考えがちですが、ここで一度、数字の意味を分けて見ておきたいと思います。

所得税率20%の人が100万円を経費にしたとき、減る税金は所得税と復興特別所得税で約20万円、住民税で約10万円の合わせて約30万円です。100万円の家族旅行の費用そのものは、経費にしてもしなくても手元から出ていきます。

つまり、私的な支出を経費にして減らせる税金は、支出の約3割にとどまります。そのうえで否認されれば、減らしたはずの税金に加算税と延滞税が上乗せされて戻ってきます。

試算では、隠蔽・仮装と認定された場合、7年分の国税だけで約205万円でした。住民税や国民健康保険料の見直しも重なるため、実際に納め直す金額はさらに大きくなります。

事業に必要な支出を正しく経費にすることは、事業を続けるうえで大切な権利です。家族旅行のように私的な部分を含む支出は、業務の部分を記録で区分できるかを確かめ、判断に迷う場合は税理士や税務署に相談するという置き方が、結果として家計を守ることにつながるのではないでしょうか。

7. まとめ

家族旅行の費用は原則として経費にならず、家事関連費として経費にできるのは、業務の遂行上直接必要だったと明らかに区分できる部分に限られます。毎年100万円を経費にして否認された場合、うっかりなら5年分で約114万円、隠蔽・仮装と認定されると7年分で約205万円の追徴になる試算です。

誤りに気づいたら、税務調査の通知前に修正申告をすれば過少申告加算税はかかりません。経費の範囲に迷うときは、所轄の税務署や税理士に確認しておきましょう。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の税額は所得や控除、申告の状況によって異なります。個別の取り扱いは所轄の税務署や税理士でご確認ください。

参考資料

安達 さやか