5. 「資さんうどん」はすかいらーく傘下入り後に全国展開を加速

福岡発のうどんチェーンのなかで、全国展開を先行して進めているのが「資さんうどん」です。

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出所:株式会社資さん

出所:株式会社資さん

1976年に北九州市で創業した同チェーンは、2024年10月に株式会社すかいらーくホールディングスの傘下に入りました。買収時点では約70店舗だった店舗網が、2026年には国内100店舗を超える規模へ拡大しています。

店舗拡大の方法として注目されるのが、グループ内の既存店舗を「資さんうどん」に転換する取り組みです。新規物件の取得や店舗建設に比べ、既存の設備や人材を活用できるため、出店コストや開業までの時間を抑えられる利点があります。

うちだ屋も、既存店舗のブランド転換を進めています。ただし、資さんうどんのような大手外食グループの店舗網を活用するケースと、うちだ屋の店舗再構築では、経営基盤や出店規模が異なってくる点は押さえておきたいポイントです。

6. その他の福岡うどんの動向と関東進出が続く理由を解説

福岡発のうどんチェーンでは、資さんうどん以外にも関東進出の動きが見られます。

1951年創業の「因幡うどん」は、株式会社力の源ホールディングス傘下の株式会社力の源カンパニーが運営しています。2025年4月には、東京・原宿の商業施設「東急プラザ原宿 ハラカド」に関東1号店をオープンしました。

因幡うどんは、太く柔らかい麺とうまみの強いだしを特徴とする博多うどんの老舗です。原宿店では、ごぼう天うどんや肉うどんなどの定番商品に加え、丼ものやかしわめしも提供しています。

福岡発の外食チェーン「ウエスト」も、関東での展開を進めています。

公式店舗情報によると、「博多うどんウエスト 神保町店」は2026年11月2日にオープンする予定です。東京都千代田区神田神保町に出店し、うどんのほか、もつ鍋なども扱います。

ウエストは、うどん以外にも焼肉などの業態を展開する外食チェーンです。過去には関東でうどん店を出店した実績もあり、今回の神保町店は東京23区内での新たな出店となります。

7. なぜ福岡うどんの関東進出が続くのか

背景の一つに、地元で確立したブランドを新たな商圏へ広げる動きがあります。

資さんうどんや因幡うどんは、経営体制の変更を経て県外への出店を進めました。うちだ屋も株式会社こむぎのの傘下に入り、既存店舗のリニューアルと関東進出を進めています。

経営基盤が変わることで、店舗開発や人材採用、仕入れ、物流などを見直す機会が生まれます。全国展開には資金だけでなく、複数店舗を安定して運営する仕組みが必要です。買収やグループ参画は、こうした課題に対応する選択肢の一つと考えられます。

もう一つの要素は、福岡うどんならではの味です。

博多うどんは、讃岐うどんに代表される強いコシを特徴とするスタイルとは異なり、柔らかな麺とだしの風味を楽しむ食文化として知られています。ごぼう天うどんや肉うどん、かしわめしなど、地域に根付いたメニューもあります。

ただし、福岡うどんの各ブランドは同じ味ではありません。

資さんうどんは北九州発祥で、肉ごぼ天うどんやぼた餅などが知られています。牧のうどんは、柔らかな麺がつゆを吸って膨らむ特徴で親しまれています。うちだ屋は、うどんに加えて丼ものや定食も提供する和風レストラン型です。

各社が異なる特徴を持つため、関東の消費者にとって選択肢が増える一方、各ブランドが持つ味や店舗体験をどこまで再現できるかが、今後の課題になります。

8. トレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

福岡うどんの関東進出を考えるうえで、参考になるのが「資さんうどん」の急拡大です。

2024年にすかいらーくグループ入りして以降、関東・関西を中心に店舗網を広げ、2026年には国内100店舗を超えました。グループの既存店舗を転換する方法も、出店を加速させる要因になっています。

一方、店舗数の拡大に伴い、味の再現性をどう確保するかという課題も浮かび上がっています。直近のSNS上では「麺が以前と違う」「味が変わった」といった声が話題になりました。

全国展開では、出店数を増やすだけでなく、地元で支持されてきた味を新しい地域でも安定して提供する必要があります。だしの仕込みや麺の調理、スタッフの教育など、店舗が増えるほど管理すべき工程も増えていきます。

福岡発のうどんチェーンが関東で存在感を高めるなか、今後は出店数だけでなく、店舗ごとの品質や顧客の定着にも注目したいところです。

参考資料

大蔵 大輔