5. 治療費の請求で気をつけることは?請求の期限は2年、加害者から賠償を受けると災害共済給付が出ないことも
災害共済給付は、学校の設置者を通じて請求します。医療費の請求の期限は、診療を受けた月の翌月10日の翌日から2年です。
また、第三者の加害行為によるけが(自動車の事故など)で、加害者から損害賠償を受けたときは、給付の全部または一部が行われません。自治体の子ども医療費助成を受けた分も、その限度で給付されません。医療費助成の使い方は自治体や学校で案内が異なるので、受診の前に学校に確かめておくと安心です。
- 【請求の窓口】学校の設置者(学校を通じて書類を出す)
- 【医療費の請求の期限】診療を受けた月の翌月10日の翌日から2年
- 【医療費の支給期間】初診から最長10年
- 【第三者の加害行為で加害者から賠償を受けた】給付の全部または一部が行われない
- 【自治体の医療費助成を受けた】受けた限度で給付されない
相手の家庭から金額を示されたら、内訳(治療費・通院の費用・慰謝料など)と、領収書や診断書を確かめます。治療費のうち災害共済給付で出る分と、賠償として話し合う分を分けて考えると、整理しやすくなります。
6. 【元FP会社スタッフの視点】検証:親の責任は、入っている保険より先に事故の状況で決まる
事故のあとに家庭でまずしておきたいのは、加入している保険の証券を見て、個人賠償責任の特約が付いているかを確かめることです。火災保険や自動車保険の特約は、契約した本人が覚えていないこともあります。
ただし、保険は法律上の賠償責任があるときに支払われるものです。試算のとおり、相手の子の治療費は医療費の4割が災害共済給付から出ます。なお、加害者から先に治療費の賠償を受けると給付が行われないことがあるため、給付の請求の手順を学校に確かめたうえで、それ以外の部分を話し合うことになります。
歯のけがのように、あとから治療が続くこともあります。災害共済給付の医療費は初診から最長10年まで支給され、3本以上に歯科補綴が必要なら障害見舞金の対象にもなります。一度に金額を決めてしまう前に、治療の見通しを確かめておきたいところです。
また、こうした場面では親どうしの気持ちの行き違いが話を難しくすることがあります。学校や保険会社に間に入ってもらい、事実と金額を分けて話すことが、子どもどうしの関係を守ることにもつながるはずです。
責任があるかどうかは、子どもの年齢、事故の状況、学校の管理の状況で変わります。「親が必ず払う」「必ず学校の責任」と決めつけず、制度と保険で出る分を確かめてから話し合っていただきたいと思います。
7. まとめ
学校内の事故で友達にけがをさせても、子どもに責任能力がない場合の親の責任は、監督の義務を怠らなかったかどうかで判断されます。けがをした子の治療費は医療費の4割が災害共済給付から出て、歯が欠けた場合は見舞金もあります。
困ったときは、学校や教育委員会、加入している保険会社、法テラス、自治体の無料法律相談に相談できます。金額を約束する前に、まず相談先に状況を伝えておくと落ち着いて進められます。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。給付の対象や金額、賠償の責任の有無は事故ごとに異なるため、学校や加入している保険会社などでご確認ください。
参考資料
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「国家賠償法」
- 裁判所「平成24(受)1948 損害賠償請求事件 平成27年4月9日 最高裁判所第一小法廷 判決」
- 日本スポーツ振興センター「給付金額」
- 日本スポーツ振興センター「給付金(医療費)の計算方法」
- 日本スポーツ振興センター「障害等級表」
- 日本スポーツ振興センター「請求と給付」
- 日本スポーツ振興センター「令和6年度 災害共済給付状況」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 個人賠償責任保険は、どのような保険ですか。」
下村 美乃莉