学校内の事故で、子どもが友達にけがをさせてしまったとき、まず気になるのは「親の責任になるのか」ではないでしょうか。あわせて、相手の子の治療費を誰が払うのかも心配になります。

こうした場面で使えるお金は、学校の制度と家庭の保険の2つに分かれます。ここでは、民法と国家賠償法の決まり、日本スポーツ振興センターの災害共済給付、個人賠償責任保険の範囲を一次資料で確かめます。

そのうえで、令和6年度の災害共済給付の実績をもとに、けがをした子の治療費のうち学校の制度から出る金額を試算します。

※平均給付額は、日本スポーツ振興センター「令和6年度 災害共済給付状況」の学校種別の医療費の平均給付額(小学校4965円、中学校6666円)です。

1. 学校内の事故で友達にけがをさせたら親の責任?子どもに責任能力がなければ親が負うことがあり、公立学校で先生に過失があれば自治体が負うことも

民法712条では、未成年者が他人に損害を与えても、自分の行為の責任を理解できるだけの知能(責任能力)がなければ、その子は賠償の責任を負いません。何歳からという決まりは法律になく、事故ごとに判断されます。

その場合、民法714条により、親などの監督義務者が賠償の責任を負うことがあります。ただし、監督の義務を怠らなかったとき、または義務を怠らなくても損害が生じたといえるときは、責任を負いません。

最高裁判所の2015年4月9日の判決(平成24年(受)第1948号)は、放課後の小学校の校庭でサッカーゴールに向けてボールを蹴った子の事故について、親は監督義務を怠らなかったとして、賠償の責任を認めませんでした。

一方、公立学校の授業中の事故で先生に過失があれば、国家賠償法1条により、学校を設置する自治体が賠償の責任を負うことがあります。

  • 【子どもに責任能力がない】親が監督義務者として責任を負うことがある(民法714条)。義務を怠らなかったと示せれば負わない
  • 【子どもに責任能力がある】原則として子ども本人が責任を負う(民法709条)
  • 【公立学校の授業中で先生に過失がある】学校を設置する自治体が責任を負うことがある(国家賠償法1条)

どれに当たるかは、事故の状況、子どもの年齢、学校の管理の状況で変わります。「学校の中だから必ず学校の責任」「親は払わなくてよい」とは決まっていません。