iDeCo(個人型確定拠出年金)の受け取り方は、一時金・年金・併用の3つから選べます。2026年12月1日(火)からはiDeCoに70歳になるまで加入できるようになり、いつ、どの形で受け取るかを考え直す人もいるのではないでしょうか。

富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、iDeCoの受け取り方は、退職金や公的年金とどの控除の枠を分け合うかで、早めに確かめておきたいテーマです。ここでは、iDeCoの受け取り方によって、税金と保険料がどう変わるかを整理します。一時金は退職金と退職所得控除を分け合い、年金で受け取る分は公的年金と公的年金等控除を分け合う、という違いが分かれ目です。

試算するのは、iDeCoの300万円を一時金で受け取る場合と、60〜64歳または65歳からの年金で受け取る場合に、増える税金と保険料です。

※300万円は、65歳未満の公的年金等控除の60万円に、年金で受け取る最短の期間(5年)を掛けた額です。65歳からの公的年金は、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の厚生年金(第1号)の平均年金月額(男子16万9967円・女子11万1413円)をもとにしています。

1. iDeCoの受け取り方は?一時金は退職所得、年金で受け取ると雑所得で、12月1日(火)からの70歳になるまでの加入は受け取っていない人が対象

iDeCo公式サイト「給付について」によると、老齢給付金は原則60歳から受け取れ、75歳になるまでに請求します。年金で受け取る場合は原則として5年以上20年以下の有期年金で、運営管理機関によっては終身年金として受け取れる場合もあります。一部を一時金、残りを年金とする併用もできます。

  • 【一時金】退職所得。退職所得控除を差し引いた残りの2分の1に課税(国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」)
  • 【年金で受け取る】雑所得。公的年金と合わせて公的年金等控除を差し引く(国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」)
  • 【併用】一時金の部分は退職所得、年金の部分は雑所得

厚生労働省「2025年の制度改正」によると、2026年12月1日(火)から、国民年金の被保険者でなくなった60歳以上70歳未満の人も、一定の要件を満たせばiDeCoに加入して掛金を出せるようになります。要件の一つは、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないことです。

2. iDeCoを60〜64歳に年金で受け取ると?年60万円までは公的年金等控除の範囲で、所得は0円

公的年金等控除は、65歳未満と65歳以上で額が違います。国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」の速算表では、公的年金等の収入が65歳未満は60万円以下、65歳以上は110万円以下なら、雑所得は0円です。

  • 【65歳未満】公的年金等の収入60万円以下なら雑所得0円
  • 【65歳以上】公的年金等の収入110万円以下なら雑所得0円
  • 【iDeCo300万円を60〜64歳の5年で年金で受け取る】年60万円で雑所得0円

雑所得が0円なら、所得税・住民税は増えません。国民健康保険料の所得割も、前年の所得から43万円を引いた額で計算するため増えません。会社で働きながら受け取る場合も、給与所得とは別に計算するため、雑所得は0円のままです。

ただし、60〜64歳に特別支給の老齢厚生年金や繰上げ受給の年金、企業年金の年金がある人は、その分も公的年金等控除の60万円を使います。日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」によると、支給の対象は男性が昭和36年4月1日以前、女性が昭和41年4月1日以前に生まれた人です。