年金の収入が400万円以下なら、「確定申告不要制度」で所得税の確定申告をしなくてよい、と聞いたことがある人は多いかもしれません。ただ、年金の確定申告不要制度は申告をしなくてもよいという制度で、医療費控除などで所得税を取り戻す還付申告は、これまでどおりできます。
令和8年分は、12月1日施行の改正で所得税の基礎控除が引き上げられ、12月15日(火)に支払われる年金で、源泉徴収された所得税の精算が行われます。ここでは、この精算に入るものと入らないものを整理し、還付申告で戻る所得税の目安を年金の収入別に試算しました。
試算するのは、65歳以上で日本年金機構の老齢年金だけを受け取る単身の人です。年金の収入は、男性の平均にあたる年約204万円と、300万円・400万円の3つの場合で比べます。
※年約204万円は、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の厚生年金保険(第1号)の老齢年金の男子の平均年金月額16万9967円を12倍した額です。
1. 年金の確定申告不要制度は「申告してはいけない」制度?年金400万円以下・ほかの所得20万円以下なら申告は不要で、還付申告はできる
国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」によると、年金などの公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下なら、所得税の確定申告をする必要はありません。国税庁の確定申告書等作成コーナーの案内では、公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合に限るとされています。
- 【公的年金等の収入金額】400万円以下(全部が源泉徴収の対象)
- 【公的年金等に係る雑所得以外の所得金額】20万円以下(確定申告をしないことを選んだ上場株式等の配当は含めない)
- 【還付申告】医療費控除や社会保険料控除などの所得控除で、所得税の還付を受けるための確定申告はできる
No.1600には、確定申告不要制度に当てはまる場合でも、医療費控除や社会保険料控除など各種の所得控除の適用による所得税の還付を受けるための確定申告ができる、と書かれています。年金の確定申告不要制度は申告の義務をなくす制度で、申告を禁じる制度ではありません。
「ほかの所得」に、確定申告をしないことを選んだ上場株式等の配当が入らないことは、国税庁「公的年金等を受給されている方へ」の表に記載があります。還付申告は、国税庁「No.2030 還付申告」によると、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。