遺族年金は、夫を亡くした妻が受け取れる大切な収入です。ただ、遺族年金の額は、18歳までの子がいるかどうかや、夫が亡くなったときの妻の年齢で大きく変わります。とくに中高齢寡婦加算が付くかどうかで、月5万円ほどの差が出ます。

遺族年金には、国民年金から出る遺族基礎年金と、厚生年金から出る遺族厚生年金があります。ここでは、会社員の夫が在職中に亡くなった場合を例に、「誰が」「いくら」「いつまで」受け取れるのかを整理します。

夫の年収は会社員の平均給与にあたる487万円とし、子の有無と妻の年齢別に、日本年金機構の令和8年度の額で試算しました。

※年収487万円は、国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」の、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与です。

1. 遺族年金は誰がもらえる?18歳までの子がいる妻は遺族基礎年金と遺族厚生年金、いない妻は遺族厚生年金だけ

日本年金機構「遺族基礎年金」によると、遺族基礎年金を受け取れるのは、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」と「子」です。ここでいう子は、18歳になった年度の3月31日までの子(障害等級1級・2級の状態にあれば20歳未満)を指します。この記事では、この子を「18歳までの子」と呼びます。

  • 【遺族基礎年金】子のある配偶者、または子が受け取れる。年84万7300円に、子の加算(1人目・2人目は各24万3800円、3人目以降は各8万1300円)が付く
  • 【遺族厚生年金】亡くなった人に生計を維持されていた配偶者や子などが受け取れる。18歳までの子がいない妻も対象。額は、亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3
  • 【18歳までの子がいない30歳未満の妻】遺族厚生年金は5年間だけ受け取れる

18歳までの子がいない妻は、遺族基礎年金の対象になりません。成人した子がいる場合も同じです。受け取れるのは遺族厚生年金だけで、ここに中高齢寡婦加算が付くかどうかで額が大きく変わります。

※遺族基礎年金の額は、昭和31年4月2日以後に生まれた配偶者の場合です。

2. 遺族年金はいくら?夫の年収487万円なら遺族厚生年金は月約4.2万円、子1人なら合計で月約13.3万円

遺族年金のうち遺族厚生年金は、亡くなった人の報酬比例部分の4分の3です。日本年金機構「遺族厚生年金」によると、会社員が在職中に亡くなった場合などは、厚生年金の加入期間が300月(25年)に満たなくても、300月とみなして計算します。

  • 【18歳までの子0人・妻40歳未満】月約4.2万円(遺族厚生年金のみ)
  • 【18歳までの子1人】月約13.3万円(遺族基礎年金 約7.1万円、子の加算 約2.0万円、遺族厚生年金 約4.2万円)
  • 【18歳までの子2人】月約15.3万円(遺族基礎年金 約7.1万円、子の加算 約4.1万円、遺族厚生年金 約4.2万円)

18歳までの子がいるかどうかで、月約9.1万円の差があります。遺族基礎年金と子の加算は、夫の年収に関係なく決まった額です。

※試算の前提:夫は会社員で、在職中に亡くなった場合。平均標準報酬額は年収487万円を12で割った約40.6万円、厚生年金の加入期間は300月とみなし、平成15年4月以後の乗率(1000分の5.481)で計算。妻自身の年金や収入は含めていません。遺族厚生年金は2028年4月に見直しが予定されていますが、ここでは現在の制度で計算しています。

3. 中高齢寡婦加算は誰に付く?40歳から65歳までの妻に年63万5500円、18歳までの子がいない39歳の妻には付かない

中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金に上乗せされる加算です。日本年金機構「遺族厚生年金」によると、夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻に、65歳になるまで年63万5500円(月約5.3万円)が加算されます。

  • 【妻39歳・18歳までの子0人】月約4.2万円(中高齢寡婦加算は付かない)
  • 【妻40歳・18歳までの子0人】月約9.5万円(遺族厚生年金 約4.2万円、中高齢寡婦加算 約5.3万円)

夫が亡くなったときに妻が39歳か40歳かで、遺族年金は月約5.3万円違います。中高齢寡婦加算の対象かどうかは夫が亡くなったときの年齢で決まるため、39歳で受け取り始めた妻は、そのあと40歳になっても加算は付きません。

※試算の前提は前章と同じです。

4. 遺族年金はいつまで?子が18歳の年度末を過ぎると、妻が40歳の時点で遺族基礎年金を受けていたかで月約9.5万円か約4.2万円

遺族年金のうち遺族基礎年金は、子が18歳になった年度の3月31日を過ぎると受け取れなくなります。その後も遺族厚生年金は続きますが、中高齢寡婦加算が付くかどうかで額が分かれます。

日本年金機構によると、18歳までの子がいる妻でも、40歳になった当時に子がいて遺族基礎年金を受けていた妻は、子が18歳の年度末を過ぎて遺族基礎年金を受けられなくなったあと、中高齢寡婦加算が付きます。

  • 【子が18歳の年度末になるまで】月約13.3万円
  • 【その後・妻が40歳の時点で遺族基礎年金を受けていた】月約9.5万円(妻が65歳になるまで)
  • 【その後・妻が40歳になる前に遺族基礎年金が終わっていた】月約4.2万円

同じ子1人の家庭でも、子と妻の年齢差によって、子が18歳の年度末を過ぎたあとの遺族年金は月約5.3万円違います。妻が65歳になると中高齢寡婦加算は終わり、妻自身の老齢基礎年金を受け取るようになります。

※試算の前提は前章と同じです(子1人の場合)。

例)夫の年収487万円・在職中に亡くなった場合 妻が受け取る遺族年金の月額(2026年度)1/1

夫の年収487万円で在職中に亡くなった場合の妻の遺族年金の月額(2026年度)。18歳までの子0人で妻が30〜39歳なら遺族厚生年金のみで約4.2万円、40〜64歳なら中高齢寡婦加算約5.3万円が付いて約9.5万円。18歳までの子1人なら約13.3万円、2人なら約15.3万円。子1人が18歳の年度末を過ぎた後は、妻が40歳の時点で遺族基礎年金を受けていれば約9.5万円、それより前に終わっていれば約4.2万円。

出所:日本年金機構「遺族厚生年金」、「遺族基礎年金」をもとにLIMO編集部作成