勤怠が15分単位で、毎日の残業代が数分ずつ切り捨てられている。そうした職場で働く人は少なくないかもしれません。残業代の切り捨てが毎日続くと、1年、3年でどれくらいの差になるのでしょうか。

ここでは、労働基準法と厚生労働省の資料から、残業代の切り捨てで認められている範囲を確かめ、平均的な月給で15分単位の切り捨てが続いた場合の金額を試算します。

あわせて、さかのぼって請求できる期間と、勤怠の記録の残し方、困ったときの相談先も整理します。

※月給34万600円は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の一般労働者(男女計)の賃金(所定内給与額)です。1か月の所定労働時間の約161.8時間は、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」の1日の所定労働時間(1企業平均7時間49分)と、労働者1人平均の年間休日総数116.6日から計算しています。

1. 残業代の切り捨ては認められる?毎日の残業を15分単位で切り捨てるのは、通達で認められた端数処理に当たらない

労働基準法第24条は、賃金はその全額を支払うよう定めています(全額払いの原則)。第37条は、法定労働時間を超えて働かせたときに、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うよう定めています。働いた時間は、1分単位で数えるのが基本です。

そのうえで、事務を簡単にするための端数処理として、次の方法は労働基準法第24条・第37条の違反として扱わないとされています(昭和63年3月14日付け基発第150号。鹿児島労働局「時間外労働・休日労働・深夜労働 Q10」)。

  • 【時間の端数】1か月の時間外労働・休日労働・深夜業それぞれの合計に1時間未満の端数があるとき、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる
  • 【1時間あたりの金額の端数】1時間あたりの賃金額と割増賃金額の円未満は、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる
  • 【1か月の総額の端数】1か月の割増賃金の総額の1円未満も、同じように処理する

認められているのは、1か月の合計に対する処理です。毎日の残業を15分単位で切り捨てる方法は、この範囲に入っていません。