実家のお墓を将来誰が管理するのか、離れて暮らす親族やご自身の将来を考えて悩まれる方は少なくありません。
2026年(令和8年)10月27日に厚生労働省が公表した「令和7年度(2025年度)衛生行政報告例」によると、令和7年度(2025年度)の全国の改葬件数は19万1212件となりました。
前年度である令和6年度(2024年度)の約17万6千件(総務省東北管区行政評価局の資料より)と比べると、約8.6%の増加です。ただし、改葬件数には墓じまいだけでなく、納骨堂や樹木葬への移転なども含まれる点には注意が必要です。
本記事では、公表された最新データをもとに改葬の推移と現状、スムーズに墓じまいを進めるためのポイントを紐解きます。
1. そもそも「改葬」とは?
改葬とは、すでに墓地や納骨堂に埋蔵・収蔵されている遺骨を、別の墓地や納骨堂へ移す手続きのことです。法律(墓地、埋葬等に関する法律)に基づき、現在遺骨が収められている市区町村長から「改葬許可」を受ける必要があります。
墓じまいに伴う移転でも改葬許可が必要になりますが、改葬件数のすべてが「墓の撤去(墓じまい)」のみを意味するわけではありません。
近くの納骨堂や樹木葬への引っ越し、あるいは親族のお墓の集約など、多様な移動形態が含まれています。
2. 令和7年度(2025年度)の改葬件数はいくら?過去の推移と比較
同報告例によると、令和7年度(2025年度)の全国における改葬件数は19万1212件に達しました。平成26年度(2014年度)の8万3574件と比較すると約2.3倍に拡大しており、10年あまりの間で改葬が大きく広がったことがうかがえます。全国で1日あたり約524件の改葬が行われている計算です。
主な年度の件数は次のとおりです。
- 平成26年度(2014年度):8万3574件
- 令和4年度(2022年度):15万1076件
- 令和6年度(2024年度):約17万6千件
- 令和7年度(2025年度):19万1212件(最新数値)
3. 墓じまいの手続きで知っておきたい注意点は3つ
改葬の手続きを進めるにあたり、事前に把握しておくべき注意点は3つあります。なお、手続きの要件や運用は自治体によって異なる場合があるため、実際に進める際は、現在のお墓がある市区町村の窓口でご確認ください。
3.1 「埋蔵証明書」と「受入証明書」の事前準備が必要
1つ目は、改葬許可申請にあたり、現在の墓地管理者が発行する「埋蔵証明書(埋蔵許可証)」等の提出が求められる点です。申請時には、移動先の墓地や納骨堂が発行する「受入証明書」も併せて必要となる場合が多く見られます。
3.2 書類が発行されない場合は市区町村に取扱いを確認
2つ目は、墓地管理者から埋蔵証明書が発行されない場合の対応です。
厚生労働省は令和8年(2026年)1月23日付で事務連絡を発出し、埋蔵証明書の添付が難しい特別な事情がある場合の取扱いをQ&Aで示しました。総務省東北管区行政評価局の「墓じまいに関する情報収集結果」(令和8年(2026年)1月30日公表)では、代替書面の例として、墳墓の写真や、証明書を提出できない経緯を記した申述書などが紹介されています。
同調査は東北管内の9市町村が対象で、このうち書類が発行されない場合の対応を把握していたのは2市町村、把握していなかったのは7市町村でした。対応は市区町村によって異なる可能性があるため、事前の確認が欠かせません。
3.3 墓地使用者以外の申請には「承諾書」と親族の合意が不可欠
3つ目は、申請者の資格と使用者の承諾です。
墓地の使用者本人以外の親族などが申請を行う場合は、墓地使用者の承諾書が必要となります。トラブルを防ぐためにも、事前に家族や親族間で十分な協議を行っておくことが重要です。
気になる費用面では、株式会社鎌倉新書が2026年(令和8年)3月17日に公表した「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」(調査期間:2026年1月16日〜23日、有効回答数733件)によると、実施費用は「31万円〜70万円」が31.3%で最多でした。30万円以下(16.8%)と合わせると、約半数(48.1%)が70万円以下となっています。
※なお同調査は、同社サイト「いいお墓」経由で資料請求や霊園見学をした人が対象で、墓じまいを経験した人全体の傾向を示すものではありません。