65歳を過ぎた親の介護保険料を、子どもが代わりに払っている家庭もあるでしょう。払った分を自分の年末調整で控除に入れられるのか、迷う人もいるかもしれません。

国税庁のタックスアンサーでは、配偶者の公的年金から差し引かれた介護保険料は、受け取っている本人が支払ったものとされています。家族が控除に入れられるかどうかは、介護保険料をどの方法で納めているかで分かれます。

この記事では、介護保険料の納め方と控除できる人の関係を確認し、親の分を子どもが払ったときに税金がいくら軽くなるかを試算します。

1. 【介護保険料】65歳以上は年金からの天引きか納付書・口座振替で納める

65歳以上の人(第1号被保険者)は、お住まいの市区町村に介護保険料を納めます。納め方は、年金から差し引かれる「特別徴収」と、納付書や口座振替で納める「普通徴収」の2つです。

1.1 年額18万円以上の年金を受け取る人は年金から天引き

年額18万円以上の年金を受け取っている人は、原則として年金から介護保険料が差し引かれます。たとえば東京都板橋区の案内でも、特別徴収の分は口座振替に切り替えられないと書かれています。

後期高齢者医療の保険料のように、手続きをして口座振替を選べる仕組みとは扱いが違うのです。年金からの天引きが始まっている人は、本人の年金から納め続けることになります。

1.2 65歳になったときや転入したときは一時的に普通徴収

年金から差し引かれる人でも、年度の途中で65歳になった場合や、ほかの市区町村から転入した場合などは、しばらくのあいだ普通徴収になります。年金の年額が18万円未満の人は、ずっと普通徴収です。

普通徴収の介護保険料は、納付書や口座振替などで納めます。家族が代わりに払えるのは、この普通徴収の分です。

2. 年金から天引きされた介護保険料は受給者本人の社会保険料控除

払った介護保険料は、所得税と住民税の社会保険料控除の対象です。誰の控除になるかは、実際に誰が支払ったかで決まります。

2.1 国税庁のQ&Aでは配偶者の控除にならない

国税庁のタックスアンサーには、扶養している妻の公的年金から介護保険料が差し引かれている場合の質問があります。回答によると、支払ったのは妻なので、夫の社会保険料控除の対象にはならないのです。

親子の場合も同じ考え方です。親の年金から差し引かれている介護保険料を、子どもが自分の控除に入れることはできません。

2.2 子どもが控除に入れられるのは普通徴収で払った分

社会保険料控除は、自分と生計を一にする配偶者やその他の親族が負担すべき社会保険料を支払った場合にも受けられます。普通徴収の介護保険料を子どもが自分のお金で払えば、その額は子どもの控除に入れられます。

介護保険料を社会保険料控除に入れられる人は、納め方によって分かれる1/2

介護保険料の納め方ごとに、社会保険料控除に入れられる人と額を確かめる書類を並べた一覧表。年金からの天引き(特別徴収)は年金を受け取っている本人だけ、納付書や口座振替(普通徴収)は実際に支払った人で、生計を一にする家族も含む

出所:国税庁「No.1130 社会保険料控除(よくある質問)」、千葉市「介護保険料は社会保険料控除の対象です」をもとにLIMO編集部作成

  • 年金からの天引き(特別徴収):控除に入れられるのは年金を受け取っている本人だけ
  • 納付書・口座振替(普通徴収):控除に入れられるのは実際に支払った人(生計を一にする家族を含む)

たとえば千葉市の案内でも、特別徴収で納めた保険料を申告できるのは年金受給者本人だけとしています。親の年金から差し引かれている間は、子どもが同じ額を親に渡していても、子どもの控除にはならないのです。