5. かけ持ちパートの2か所目で引かれた所得税は確定申告で精算する
B店で引かれた所得税は、年末調整では精算されません。2か所の給与を合わせて1年分の税額を計算し直すのが確定申告です。
5.1 年末調整されなかった給与が20万円を超えると確定申告が必要
国税庁は、給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人を、確定申告が必要な人に挙げています。B店の給与は年60万円なので、この金額を超えます。
5.2 所得税がかからない人は還付申告で取り戻せる
ただし、確定申告をすれば税金が還付される人は、確定申告が必要な人から除かれています。この例では2か所の合計でも所得税は0円なので、確定申告(還付申告)をするとB店で引かれた1万8372円が戻る計算です。
確定申告には、A店とB店の両方の源泉徴収票を使います。年が明けて勤め先から受け取ったら、2枚そろっているかを確かめておきましょう。
6. かけ持ちパートが年収の壁で確かめたい3つの書類と相談先
2か所で働く人は、書類も2か所分になります。扶養と税の両方を見通すために、手元にそろえておきたいものと相談先を3つ挙げます。
6.1 2か所の労働条件通知書
健康保険の扶養を労働契約の内容で判定するときは、すべての勤め先の労働条件通知書などが必要です。時給や労働時間が変わって契約を更新したときも、新しい書面を出すことになります。
6.2 2か所の給与明細と源泉徴収票
給与明細では、毎月いくら所得税が引かれているかを確かめられます。源泉徴収票は、確定申告で1年分の給与と引かれた所得税を合わせるときに使います。
6.3 家族の勤務先と税務署
健康保険の扶養に入れるかどうかは、家族の勤務先を通じて届け出た健康保険の側で判定されます。確定申告の方法や還付の見込みは、住んでいる地域を管轄する税務署で相談できます。
7. まとめにかえて
かけ持ちパートの年収の壁は、健康保険の扶養と税の扶養が2か所の合計で、勤め先の社会保険の加入が勤め先ごとで判断されます。A店で月6万円・B店で月5万円なら合計132万円で、税の扶養には入る一方、健康保険の扶養の130万円は超えました。
2か所目の給与からは乙欄で所得税が引かれ、この例では1年で1万8372円です。年末調整では精算されないので、2か所の源泉徴収票をそろえて、確定申告で取り戻せるか確かめておくとよいでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&Aについて」
- 厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」
- 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分)」
- 日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
- 国税庁「No.1191 配偶者控除」
- 国税庁「No.1199 基礎控除」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
太田 彩子