4. 2027年度の厚生年金の改定に使う物価は9月に前年同月比2.1%上昇

2027年度の年金額も、2026年の物価と賃金の動きをもとに改定されます。総務省が10月23日に公表した9月分の消費者物価指数から、2026年の物価がここまでどう動いてきたかを見ておきましょう。

4.1 2026年1月から9月までの物価の動き

消費者物価指数(総合)の前年同月比は、2026年1月から6月まで1%台で推移し、9月は2.1%の上昇4/4

2025年9月から2026年9月までの消費者物価指数(総合)の前年同月比を示した棒グラフ

出所:総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)9月分」をもとにLIMO編集部作成

2025年の秋は前年同月比3%前後の上昇が続いていましたが、2026年に入ると1%台に落ち着きました。7月からはふたたび上昇幅が広がり、9月は総合で2.1%、生鮮食品を除く総合でも2.1%の上昇でした。

2025年の平均を100とした総合指数で見ると、2026年1月の100.8から9月には102.2まで上がっています。

4.2 年金額の改定に使う物価は1年間の平均

年金額の改定に使う物価変動率は、ある1か月の数字ではありません。前年1年間(1月から12月)の消費者物価指数の平均をもとに計算します。

たとえば2026年度の改定には、2026年1月23日に公表された2025年平均の消費者物価指数が使われました。2027年度の改定に使う2026年平均は、10月から12月の結果が出るまで決まりません。

9月までの数字はあくまで途中の動きで、2027年度の改定率を示すものではない点に注意が必要です。

4.3 物価と賃金のどちらを使うか

名目手取り賃金変動率は、2〜4年度前の3年度平均の実質賃金変動率に、前年の物価変動率と3年度前の可処分所得割合変化率を組み合わせて計算します。つまり、2027年度の改定では2026年の物価変動率が賃金の側の計算にも入るのです。

物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回れば、2026年度と同じく賃金の側を使います。賃金や物価の伸びがプラスのときは、そこからマクロ経済スライドによる調整が差し引かれます。

なお、2025年の年金制度改正では、厚生年金(報酬比例部分)のマクロ経済スライドによる調整を、次の財政検証の翌年度(2030年度を予定)まで続けることになりました。

5. まとめにかえて

2026年度の年金額は、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げでした。物価ほど増えていないのは、物価より低かった賃金の伸びを基準にし、マクロ経済スライドの調整を差し引くルールがあるからです。

厚生年金の受給額は、月15万円以上の人と未満の人がほぼ半々に分かれていました。平均はあくまで目安で、自分が受け取る額は加入期間と現役時代の給与で決まります。

2027年度の年金額は、2026年平均の消費者物価指数などが出そろってから決まります。年金額の数字だけを追うより、まずは自分の見込額をねんきん定期便やねんきんネットで把握しておくと、改定のニュースも自分のこととして読めるようになります。

受け取り方や見込額の見方で迷うことがあれば、お近くの年金事務所や街角の年金相談センターで相談してみてください。

参考資料

太田 彩子