総務省が2026年10月23日に公表した「消費者物価指数 全国 2026年9月分」で、総合指数は前年同月比2.1%の上昇でした。年金額は毎年度、こうした物価の動きと現役世代の賃金の動きをもとに見直されています。
2026年度の年金額は、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げでした。物価の上がり方と比べて、年金はそれほど増えていないと感じた人もいるのではないでしょうか。
この記事では、公的年金の2階建ての仕組みと2026年度の年金額、そしてその改定率がどう決まったのかを確認します。
1. 公的年金は国民年金と厚生年金の2階建て
日本の公的年金は、加入が義務づけられている国民年金(基礎年金)を土台に、会社員や公務員が加入する厚生年金が上に乗る形をとっています。この形から「2階建て」と呼ばれます。
1.1 1階部分は国民年金(基礎年金)
- 加入する人:日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人
- 保険料:原則として全員が同じ額で、2026年度は月1万7920円
- 年金額:保険料を40年(480か月)納めると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れる。納めていない期間があれば、その分だけ少なくなる
2026年度の老齢基礎年金の満額は、月7万608円です。(※)
※1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの人は月7万408円
1.2 2階部分は厚生年金
- 加入する人:会社員や公務員、一定の要件を満たして働くパートなど
- 保険料:標準報酬月額と標準賞与額に保険料率18.3%をかけた額を、会社と本人が半分ずつ負担する
- 年金額:加入していた期間と、その間の給与や賞与の額によって変わる
厚生年金の額は、収入と加入期間によって決まります。同じ会社員だった人どうしでも、受け取る年金には差が出るのです。
2. 2026年度の年金額は国民年金1.9%・厚生年金2.0%の引き上げ
厚生労働省は2026年1月23日に「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」を公表しました。2026年度の年金額は前年度と比べ、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられています。
2.1 2026年度の年金額の例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):月7万608円(前年度から1300円増)※1
- 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):月23万7279円(前年度から4495円増)※2
※1 1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの人の老齢基礎年金(満額1人分)は月7万408円(前年度から1300円増)
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与を含む月額換算)45.5万円)で40年間働いた場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の水準
新しい額が使われるのは4月分からです。年金は2か月分ずつ後払いされるため、4月分と5月分をまとめた6月の支給分から反映されました。
2.2 改定率は物価ではなく賃金の伸びで決まった
年金額の改定には、前年の物価変動率と、現役世代の名目手取り賃金変動率が使われます。2026年度の改定では、2025年の物価変動率が3.2%、名目手取り賃金変動率が2.1%でした。
2026年度は物価変動率(3.2%)より低い名目手取り賃金変動率(2.1%)を基準に、マクロ経済スライドの調整を差し引いて改定率が決まった2/4
出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成
物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率を使って改定することが法律で決まっています。支え手である現役世代の負担能力に合わせるためで、2026年度は2.1%が基準になりました。
そこから、マクロ経済スライドによる調整が差し引かれています。
- マクロ経済スライドによる調整:国民年金(基礎年金)は▲0.2%、厚生年金(報酬比例部分)は▲0.1%
- 2026年度の改定率:国民年金(基礎年金)は1.9%、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%
厚生年金(報酬比例部分)の調整幅が小さいのは、2025年の年金制度改正によるものです。厚生年金の受給者に不利にならないよう、調整率を3分の1に緩やかにする措置がとられました。
2026年度の改定率は国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%で、物価変動率の3.2%には届いていません。物価より伸びの小さかった賃金を基準にし、さらにマクロ経済スライドの調整を差し引いたためです。
自分の年金がいくらに改定されたかは、毎年6月ごろに日本年金機構から届く年金額改定通知書で確かめられます。まだ年金を受け取っていない人は、ねんきん定期便で見込額を確認できます。
ここからは、厚生年金を実際にいくら受け取っている人が多いのかを、受給額ごとの人数で見ていきます。