7. 手続きは事業主が届出を出し、本人の同意書を添える。自分では申請できない
通知によると、手続きは、適用事業所の事業主が行います。事業主が、被保険者報酬月額変更届(特例改定用)に、申立書兼同意書を添えて、通知に定められた事務センター(または事務所)に提出します。健康保険組合が管掌する健康保険は、同時に健康保険組合にも提出します。
申立書兼同意書では、事業主が、就労調整で報酬が急減し、標準報酬月額が2等級以上低下して3か月以上続くと見込まれることを確認した旨を申し立てます。本人が、特例による改定に同意していることも記載します。
事業主は、確認できる書類を、届出日から2年間保存することが求められています。書類の例として、出勤簿、賃金台帳、療養の事実が分かる医師の診断書、子の年齢を証明する書類、要介護状態または要支援状態であることを証明する書類が挙げられています。
就労調整が終わり、報酬が増えて標準報酬月額が2等級以上上がった場合は、速やかに届け出て、増えた初月の報酬で改めて改定します。特例による改定のあとも、通常の随時改定や、定時決定の届出が必要になる場合があります。
つまり、本人が窓口に直接申請する制度ではありません。勤務先が届け出る取扱いで、本人の同意が前提です。勤務先がこの特例を使うかどうか、手続きをどう進めるかは、通知からは分かりませんでした。担当部署に確認してください。
8. 東京の協会けんぽで標準報酬月額が36万円から28万円になると、本人負担の健康保険料は月4032円下がる:編集部試算
標準報酬月額が下がると、保険料も下がります。東京の協会けんぽの令和8年度の保険料額表(令和8年3月分から。子ども・子育て支援金率は令和8年4月分から)で、本人負担の目安を試算します。
標準報酬月額が36万円(健康保険の25等級)の人の本人負担は、健康保険料が折半額で1万7730円、子ども・子育て支援金が414円で、あわせて月1万8144円です。28万円(21等級)に改定されると、健康保険料が1万3790円、支援金が322円で、あわせて1万4112円です。差は、月4032円です。
40歳から64歳の人は、介護保険料が加わります。36万円では、折半額が2万646円で、支援金とあわせて月2万1060円です。28万円では1万6058円で、あわせて月1万6380円です。差は、月4680円です。
この試算は、健康保険料と子ども・子育て支援金だけです。雇用保険料など、ほかの保険料は含みません。標準報酬月額が2等級以上下がる、ぎりぎりの例として、30万円(22等級)から26万円(20等級)の場合も表に入れました。
標準報酬月額が下がると保険料はいくら下がる?東京・協会けんぽの本人負担の健康保険料を月額の目安で確認
| 改定の例 | 等級の差 | 改定前(介護保険料なし) | 改定後(介護保険料なし) | 差(介護保険料なし) | 差(介護保険料あり) | 特例の対象 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 36万円(25等級)から28万円(21等級) | 4等級 | 1万8144円 | 1万4112円 | 4032円 | 4680円 | 2等級以上のため対象になりうる |
| 30万円(22等級)から26万円(20等級) | 2等級 | 1万5120円 | 1万3104円 | 2016円 | 2340円 | ちょうど2等級のため対象になりうる |
| 30万円(22等級)から28万円(21等級) | 1等級 | 1万5120円 | 1万4112円 | 1008円 | (試算せず) | 1等級のため対象外 |
出所:全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(東京支部、令和8年3月分から)」を基にLIMO編集部試算
8.1 【標準報酬月額が下がると保険料はいくら下がる?東京・協会けんぽの本人負担の健康保険料を月額の目安で確認】
- 36万円(25等級)から28万円(21等級):4等級の差で、介護保険料なしでは1万8144円から1万4112円に下がり、差は4032円です(介護保険料ありでは4680円の差)。2等級以上のため、対象になりえます。
- 30万円(22等級)から26万円(20等級):2等級の差で、介護保険料なしでは1万5120円から1万3104円に下がり、差は2016円です(介護保険料ありでは2340円の差)。ちょうど2等級のため、対象になりえます。
- 30万円(22等級)から28万円(21等級):1等級の差で、介護保険料なしでは1万5120円から1万4112円に下がり、差は1008円です。1等級のため、対象外です。
9. 保険料は年4万8384円下がるが、傷病手当金は12か月後に30日分が5万3400円下がる:編集部試算
通知には、特例による改定は、保険料への影響だけでなく、将来受け取る公的な給付の額が減ること、傷病手当金と出産手当金に影響が出ることを、本人が十分に理解したうえで同意する、と書かれています。本人の書面同意が必要な理由の1つです。
傷病手当金の1日あたりの額は、協会けんぽのページによると、支給開始日以前の12か月間の各標準報酬月額を平均し、30で割って10円未満を四捨五入し、3分の2をかけて1円未満を四捨五入して求めます。直前の標準報酬月額ではなく、12か月の平均です。
そのため、標準報酬月額が改定されても、手当金の額は、すぐには下がりません。12か月の平均に、改定後の低い額が、月ごとに混ざっていきます。標準報酬月額が36万円から28万円に改定されたとして、手当金の日額の変化を試算します。
12か月とも36万円なら、日額は8000円、30日分は24万円です。改定から3か月後は、36万円が9か月、28万円が3か月で、平均は34万円です。日額は7553円、30日分は22万6590円で、1万3410円下がります。
6か月後は、平均が32万円で、日額は7113円、30日分は21万3390円です。差は2万6610円です。12か月後には、12か月とも28万円になり、日額は6220円、30日分は18万6600円で、差は5万3400円です。
保険料の差は、介護保険料なしで月4032円、年にすると4万8384円です。12か月後の手当金の30日分の差5万3400円は、これより大きくなります。ただし、手当金は、病気やけがで休み、受け取る場合に限ります。保険料は、毎月下がります。
標準報酬月額が36万円から28万円に改定されると傷病手当金はいくら変わる?日額と30日分を試算
| 時点 | 12か月の標準報酬月額の平均 | 日額 | 30日分 | 12か月とも36万円との差(30日分) |
|---|---|---|---|---|
| 改定前(12か月とも36万円) | 36万円 | 8000円 | 30日分は24万円 | 差なし |
| 改定から3か月後(36万円9か月+28万円3か月) | 34万円 | 7553円 | 30日分は22万6590円 | 1万3410円減 |
| 改定から6か月後(36万円6か月+28万円6か月) | 32万円 | 7113円 | 30日分は21万3390円 | 2万6610円減 |
| 改定から12か月後(12か月とも28万円) | 28万円 | 6220円 | 30日分は18万6600円 | 5万3400円減 |
出所:全国健康保険協会「傷病手当金」の式を基にLIMO編集部試算
9.1 【標準報酬月額が36万円から28万円に改定されると傷病手当金はいくら変わる?日額と30日分を試算】
- 改定前(12か月とも36万円):平均は36万円、日額は8000円、30日分は24万円です。
- 改定から3か月後(36万円9か月+28万円3か月):平均は34万円、日額は7553円、30日分は22万6590円で、1万3410円減ります。
- 改定から6か月後(36万円6か月+28万円6か月):平均は32万円、日額は7113円、30日分は21万3390円で、2万6610円減ります。
- 改定から12か月後(12か月とも28万円):平均は28万円、日額は6220円、30日分は18万6600円で、5万3400円減ります。
出産手当金も、通知が影響を挙げています。出産手当金の日額も、協会けんぽの案内では、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を使う仕組みです。特例で標準報酬月額を下げた期間が、12か月の平均に入る人は、同じ影響を受けます。