厚生労働省が更新日2026年7月31日の「高額療養費制度を利用される皆さまへ」で示している資料によると、令和9年8月から、70歳未満の高額療養費の所得区分は、いまの5段階から13段階に細分化される予定です。

医療費が100万円の月の自己負担は、編集部の試算で、標準報酬月額が44万円から50万円の人は9万2940円から11万6720円に増えます。53万円から59万円の人は変わりません。

「もし来年8月以降に入院して、医療費が高額になったら、自己負担は今より増えるのか」と気になる方もいるでしょう。結論から言うと、自己負担が増えるかどうかは、区分で決まります。8区分で増え、5区分は変わりません。

この記事では、前半でこの疑問に、厚生労働省の公表資料(2026年10月時点)と編集部の試算で答えます。続けて、令和9年8月からの13区分の月額上限、多数回該当、年間上限を一覧で確認します。個別の区分と金額は、加入している保険者に確認してください。

1. よくある疑問:来年8月から区分が増えると、うちは入院したとき今より高くなるの?

「夫の標準報酬月額は、50万円くらいです。来年の8月から区分が13に分かれると聞きましたが、表を見ても、うちがどこなのか分かりません。夫が入院したら家計はどうなるのかと、通帳を見ながら不安になっています。今より高くなるのでしょうか」

高額療養費は、1か月に支払う医療費の自己負担に上限を設ける制度です。上限額は所得区分で決まります。会社員の健康保険は標準報酬月額、国民健康保険は旧ただし書き所得が、区分を分ける基準です。答えを3点にまとめると、次のとおりです。

  • 医療費100万円の月の自己負担は、標準報酬月額が127万円以上、103万円から121万円、71万円から79万円、62万円から68万円、44万円から50万円、36万円から41万円、20万円から26万円、16万円から19万円の8区分で増えます(編集部試算)
  • 標準報酬月額が83万円から98万円、53万円から59万円、28万円から34万円、15万円以下の4区分と、住民税非課税の区分は、月額上限が現在と同じです
  • 毎月100万円の医療費が12か月続く場合は、年間上限が働きます。標準報酬月額44万円から50万円の年間の自己負担は、現在も令和9年8月からも53万円です(編集部試算)

最も増えるのは、標準報酬月額71万円から79万円の区分で、2万9290円です。区分は年収ではなく、標準報酬月額で決まります。年収換算は目安です。

2. 令和9年8月以降の13区分は、月額上限・多数回該当・年間上限の3つで見る

厚生労働省の見直し資料(令和8年8月診療分から)には、「令和9年8月~」の自己負担限度額の表があります。70歳未満の区分は、年収換算と、健保の標準報酬月額、国保の旧ただし書き所得で示されています。

月額上限の式は、区分によって2種類あります。標準報酬月額が28万円以上の区分は、「基準の額+(医療費−一定額)×1%」です。ここでの医療費は、保険診療の総額(10割)を指します。標準報酬月額が26万円以下の区分は、式がなく、定額です。

たとえば、標準報酬月額が44万円から50万円の区分は、11万400円+(医療費−36万8000円)×1%です。医療費が100万円なら、11万400円に、100万円から36万8000円を引いた63万2000円の1%、6320円を足した、11万6720円になります。

多数回該当は、直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合に、4か月目以降の上限が下がる仕組みです。年間上限は、8月から翌年7月までの1年間の自己負担の上限です。厚生労働省のページにも、年間は8月から翌年7月までを指す、と書かれています。

2.1 【令和9年8月から70歳未満の高額療養費はどう変わる?13区分の月額上限・多数回該当・年間上限を一覧で確認】

令和9年8月から70歳未満の高額療養費はどう変わる?13区分の月額上限・多数回該当・年間上限を一覧で確認1/1

令和9年8月から70歳未満の高額療養費はどう変わる?13区分の月額上限・多数回該当・年間上限を一覧で確認

出所:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」

  • 標準報酬月額127万円以上(約1650万円から、国保の旧ただし書き所得は1356万円超):月額上限は34万2000円+(医療費−114万円)×1%、多数回該当は14万100円、年間上限は168万円です。
  • 103万円から121万円(約1410万円から約1650万円、国保は1110万円から1356万円):30万3000円+(医療費−101万円)×1%、多数回該当は14万100円、年間上限は168万円です。
  • 83万円から98万円(約1160万円から約1410万円、国保は901万円から1110万円):27万300円+(医療費−90万1000円)×1%、多数回該当は14万100円、年間上限は168万円です。
  • 71万円から79万円(約1040万円から約1160万円、国保は809万円から901万円):20万9400円+(医療費−69万8000円)×1%、多数回該当は9万3000円、年間上限は111万円です。
  • 62万円から68万円(約950万円から約1040万円、国保は679万円から809万円):19万4400円+(医療費−64万8000円)×1%、多数回該当は9万3000円、年間上限は111万円です。
  • 53万円から59万円(約770万円から約950万円、国保は600万円から679万円):17万9100円+(医療費−59万7000円)×1%、多数回該当は9万3000円、年間上限は111万円です。
  • 44万円から50万円(約650万円から約770万円、国保は410万円から600万円):11万400円+(医療費−36万8000円)×1%、多数回該当は4万4400円、年間上限は53万円です。
  • 36万円から41万円(約510万円から約650万円、国保は313万円から410万円):9万8100円+(医療費−32万7000円)×1%、多数回該当は4万4400円、年間上限は53万円です。
  • 28万円から34万円(約370万円から約510万円、国保は210万円から313万円):8万5800円+(医療費−28万6000円)×1%、多数回該当は4万4400円、年間上限は53万円です。
  • 20万円から26万円(約260万円から約370万円、国保は127万円から210万円):6万9600円、多数回該当は4万4400円、年間上限は53万円です。
  • 16万円から19万円(約200万円から約260万円、国保は86万円から127万円):6万5400円、多数回該当は4万4400円、年間上限は53万円です。
  • 15万円以下(約200万円以下、国保は86万円以下):6万1500円、多数回該当は3万4500円、年間上限は41万円です。
  • 住民税非課税:3万6900円、多数回該当は2万4600円、年間上限は29万円です。

3. 【編集者の視点】

13区分の表を、現在の5区分と並べてみると、上がる区分と変わらない区分が、交互に出てきます。標準報酬月額が83万円から98万円、53万円から59万円、28万円から34万円の区分は、現在の区分の下端にあたり、月額上限がそのまま残ります。

その上の区分ほど、基準の額が段階的に上がります。同じ現在の区分のなかでも、標準報酬月額が高い人ほど、令和9年8月以降の上限が上がる形です。細分化は、応能負担という考え方を、区分の数で表したものと読めます。

ただし、これは、医療費が100万円の月の試算です。実際の自己負担は、医療費の額、医療機関の数、直近12か月の該当の回数で変わります。ご自身の区分を確かめたうえで、保険者に聞くのが確実です。

4. まとめ

令和9年8月から、70歳未満の高額療養費の区分は、5段階から13段階に細分化される予定です。区分は、標準報酬月額(国保は旧ただし書き所得)で決まり、月額上限、多数回該当、年間上限が区分ごとに示されています。