4. 【非正規の職員・従業員についた主な理由】最も多いのは「自分の都合のよい時間に働きたいから」36.6%
労働力調査(詳細集計)では、非正規の職員・従業員についた主な理由別の内訳を、男女別にも公表しています。
4.1 非正規で働く主な理由別の人数と割合(2025年平均)
最も多いのは、「自分の都合のよい時間に働きたいから」とした757万人(36.6%)でした。理由別の人数と割合(男女計)、男女別の人数は次のとおりです。
- 自分の都合のよい時間に働きたいから:757万人(36.6%)、男性228万人、女性529万人
- 家計の補助・学費等を得たいから:366万人(17.7%)、男性81万人、女性285万人
- 家事・育児・介護等と両立しやすいから:226万人(10.9%)、男性8万人、女性218万人
- 通勤時間が短いから:110万人(5.3%)、男性35万人、女性75万人
- 専門的な技能等をいかせるから:166万人(8.0%)、男性82万人、女性84万人
- 正規の職員・従業員の仕事がないから:173万人(8.4%)、男性85万人、女性88万人
- その他:273万人(13.2%)、男性133万人、女性140万人
- 非正規の職員・従業員:2128万人、男性678万人、女性1450万人
非正規の職員・従業員の人数には、「現職の雇用形態についた主な理由不詳」も含まれます。割合は、理由別の内訳の合計に占める割合です。
4.2 理由を知ると、働き方の選択肢も見えてくる
非正規で働く理由は、時間の自由さや家庭との両立、技能を生かせることなど、さまざまです。同じ非正規でも、何を大切にして働いているかによって、これからの働き方の考え方も変わってくるでしょう。
女性では「自分の都合のよい時間に働きたいから」「家計の補助・学費等を得たいから」「家事・育児・介護等と両立しやすいから」が並んでいます。家庭の事情に合わせて働き方を選んでいる人が多いことがうかがえる一方で、その働き方が将来の年金にどうつながるかも、あわせて見ておきたいところです。
正規で働くことを望みながら非正規で働いている場合は、公的な支援を知っておくことも選択肢を広げる手がかりになるかもしれません。
今の働き方を選んだ理由は、年齢や家族の状況とともに変わっていくものです。子育てがひと段落したときや、親の介護が始まったときなど、節目ごとに働き方を見直してみるのもよいでしょう。
働き方を変えるかどうかを考えるときは、収入の変化だけでなく、社会保険や将来の年金がどう変わるかも合わせて見ておくと、家計の見通しが立てやすくなると考えられます。
5. 【国の新プログラム】3本柱に「高齢期を見据えた支援」を追加
同プログラムは、当面3年間程度(2028年度まで)の集中的な取り組みの方針を定めたものです。これまでの「就労・処遇改善に向けた支援」と「社会参加に向けた段階的支援」に、新たに「高齢期を見据えた支援」を加えた3本柱で取り組むとしています。
5.1 高齢期を見据えた支援のおもな中身
同プログラムでは、就職氷河期世代の賃金上昇率は相対的に小さく、10年前の40代と比べて金融資産の保有額が少ない世帯の割合が大きくなっていることなどを挙げています。そのうえで、次のような支援を示しています。
- 生活困窮者に対する家計の状況の見える化などの支援や、J-FLEC(金融経済教育推進機構)による講師派遣やセミナーなど、お金の知識を深める取り組み
- 65歳までの雇用確保措置の確実な実施と、70歳までの就業確保措置の普及に向けた、65歳以上への定年引上げなどに取り組む事業主への助成
- 短時間労働者への被用者保険の更なる適用拡大
- 持家がなく高齢期の住まいが不安な方に向けた住宅の確保
並んだ支援は、それぞれ対象が決まっています。たとえば家計の見える化の支援は生活困窮者に向けたもので、定年引上げなどへの助成は勤め先の事業主が受けるものです。自分に関係しそうな項目を見つけたら、まず誰に向けた支援なのかを確かめておくと、思い込みで見落とすことも減るでしょう。
5.2 支援の窓口も、知っておくだけで違う
就労・処遇改善に向けた支援では、ハローワークの専門窓口で、相談から就職、定着までの伴走支援に取り組むとしています。どのような支援があるかを知っておくだけでも、いざというときの選択肢は広がるでしょう。
高齢期の住まいや年金の支援が柱に加わったことは、就職氷河期世代の老後の不安に、国が向き合い始めたことの表れとも受け取れます。どの支援が自分に関係しそうかを知っておくことが、将来の選択肢を広げる第一歩になるかもしれません。
制度の具体的な内容や対象は、今後変わることもあります。就労の支援を利用するときは、ハローワークの専門窓口で最新の情報を確かめてください。
6. 【これからの家計のために】働き方と老後のお金を一緒に書き出す
ここからは、40歳代から50歳代のいま、家計で確かめておきたいことを考えてみます。
6.1 今の働き方で、老後に受け取れるお金を見ておく
給与明細で、厚生年金の保険料が引かれているかを確かめておくと、今の働き方と老後の年金のつながりを考える手がかりになるでしょう。年金のことは、日々の忙しさの中で後回しにしがちですが、年に一度は見ておきたいところです。
短時間で働いている場合も、被用者保険の適用は広がっていく方向です。勤め先の制度を確かめ、加入できる場合のメリットと手取りの変化を、家族と一緒に書き出しておきたいところです。
6.2 60歳以降の働き方と、家計の見通しを立てる
65歳までの雇用確保や70歳までの就業確保の取り組みが進めば、60歳を過ぎても働き続けるという選択肢を考えやすくなるでしょう。いつまで、どのくらい働くかを考えておくと、老後に必要なお金の見通しも立てやすくなります。
定年や再雇用の決まりは、勤め先ごとに違います。就業規則や人事の担当部署で、60歳以降の働き方と給与の扱いを確かめておくと、老後の収入の見通しを立てる土台になるでしょう。
親の介護が気になる年代でもあります。介護と仕事の両立も含めて、これからのキャリアと家計の計画を早めに家族で話し合っておくと、いざというときにも慌てにくくなるのではないでしょうか。
家計の見える化や金融リテラシーの向上は、国のプログラムでも支援の中身に挙げられています。毎月の収入と支出、貯蓄と負債を一度書き出しておくと、何から手を付ければよいかが見えてくるでしょう。
40歳代、50歳代は、老後までにまだ時間がある年代でもあります。今の収入の中で無理のない範囲から準備を始めておくと、60歳以降の働き方や暮らし方を選ぶときの手がかりも増えていくと考えられます。
7. まとめにかえて
就職活動のころを振り返ると、思うようにいかなかった経験を思い出す方もいるかもしれません。それでも、その後の年月を働きながら積み重ねてきたこと自体に、大きな意味があるのではないでしょうか。
今回見たように、就職氷河期世代では正規で働く人が増えた一方で、不本意ながら非正規で働く人や無業の人も、まだ少なくありません。国も、これからの高齢期を見据えた支援に力を入れ始めています。
今の働き方を続ける人も、働き方を見直す人も、わが家に合った道を選びたいところ。そのうえで、年金や老後の暮らしのことを少し早めに考えておくと、これからの不安を小さくする手がかりになるはずです。
年末の家計の見直しを、働き方と老後のお金を家族で話してみるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
宮野 茉莉子