4. 冬季加算の特別基準で「常時在宅せざるを得ない者」にあたる人の目安
「外出が著しく困難で常時在宅せざるを得ない者」がどのような人を指すのかは、実施要領等の問答で示されています。
4.1 重度障害者加算を算定している人、要介護度が3から5の人
問答が最初に挙げているのは、重度障害者加算を算定している人か、要介護度が3、4または5の人です。いずれも、日常生活で常時の介護が必要なため外出が著しく困難で、常に在宅している生活実態にあることが条件になります。
介護人の支援を受けて、通院などのために外出することがある人も含まれます。通院で家を出ることがあるからといって、対象から外れるわけではありません。
4.2 医師の診断書などで福祉事務所が認めた人も対象
このほか、医師の診断書等により、傷病や障害による療養のため外出が著しく困難で、常時在宅せざるを得ない状態にあると保護の実施機関が認めた人も対象です。
重度障害者加算や要介護認定がなくても、病状によっては対象になりえます。主治医に状態を書いてもらえるかどうかを相談しておくとよいでしょう。
4.3 1.3倍の額は「特段の事情がない限り」認定してよいとされている
特別基準を1.3倍の額で認定してよいかについて、問答は次のように答えています。
傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者又は乳児が世帯員にいることが確認できれば、冬季に増加する光熱費が地区別冬季加算額で賄える特段の事情がない限り、地区別冬季加算額の1.3倍の額を認定して差し支えない。
出所:厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」
対象になる人がいることが確認できれば、原則として1.3倍の額を認定してよいという考え方です。
5. 冬季加算の特別基準は事由が生じた月の翌月から認定が変わる
冬季加算の期間中に家族の状態が変わったときの扱いも、局長通知に定められています。
5.1 保護を受けている途中で対象になったら翌月から
保護を受けている人について、冬季加算を認定する期間の月の途中で特別基準を新たに認定する、またはやめる事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月から認定を変更します。
たとえば冬季加算の期間中に子どもが生まれた場合や、要介護度が上がって常時在宅になった場合は、翌月分から1.3倍の範囲での認定に変わる流れです。乳児が1歳の誕生日を迎えて対象から外れるときも、同じように翌月から認定が変更されます。
5.2 保護の開始や廃止の月は日割計算
月の途中で保護が始まった場合や廃止になった場合など、冬季加算そのものを日割計算で認定するときは、特別基準も日割計算で認定します。
6. 冬季加算をまとめて受け取れる「一括前渡」の扱い
冬季加算は、毎月の保護費と同じく1か月分以内を限度に前渡しするのが原則です。一方で、問答はまとめて前渡しできる場合も示しています。
6.1 薪炭などの冬期必需物資をまとめて買う必要がある地域
対象になるのは、薪炭等の冬期必需物資について、地域の実態から適当な時期に一括して購入しなければ、その後の購入が著しく困難になるような状態にある場合です。
そのうえで、ほかの生活費に回してしまうおそれがないかなどを世帯ごとに確認し、必要やむを得ないと認められれば、必要な額を一括して前渡しして差しつかえないとされています。
6.2 まとめて受け取った冬季加算は暖房費として計画的に使う
一括で受け取った分は、冬の間の暖房に使うためのお金です。購入した燃料のレシートを保管し、使い道を説明できるようにしておくと、福祉事務所とのやりとりがスムーズになります。
7. まとめ
生活保護の冬季加算は、療養のため外出が著しく困難で常時在宅している人や乳児がいる世帯では、通常の額の1.3倍の範囲内で認定できます。単身世帯なら、Ⅰ区で月1万6620円、Ⅵ区で月3420円が上限です。
重度障害者加算を算定している人や要介護度3から5の人が目安で、医師の診断書等で認められる場合もあります。家族の状態が変わったときは翌月から認定が変わるため、早めに担当のケースワーカーへ伝えておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」
- 厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」
- 厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」
鶴田 綾