11月に入り、全国の多くの地域で暖房を使う日が増えてきました。生活保護では寒い季節の光熱費の増加分として冬季加算が生活扶助に加わり、北海道などのⅠ区では10月から、東京都や大阪府などのⅥ区では11月から始まっています。

厚生労働省の「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」には、病気や障害で外出が難しく常に家にいる人や乳児がいる世帯について、冬季加算を通常の1.3倍まで認定できる特別基準が定められています。

この記事では、冬季加算の特別基準の対象と、地区区分ごとの1.3倍の額を確認します。

1. 生活保護を受けている世帯は令和8年7月分で164万4102世帯、障害者・傷病者世帯は25.6%

はじめに、厚生労働省の被保護者調査で、生活保護を受けている世帯の状況を見ておきます。

1.1 生活保護を受けている人は196万9655人、前年同月より2万438人少ない

厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯でした。

受けている人の数は、前年同月と比べて2万438人、率にして1.0%減っています。

1.2 障害者・傷病者世帯は41万8114世帯

保護を停止している世帯を除いた163万5284世帯を世帯類型別に見ると、高齢者世帯が90万3116世帯で55.2%、障害者・傷病者世帯が41万8114世帯で25.6%でした。

障害者・傷病者世帯は前年同月より4157世帯増えています。病気や障害のある人がいる世帯は、受給世帯の4分の1を占めています。

2. 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額、光熱費は生活扶助でまかなう

生活保護の保護費がどう決まるのか、冬季加算が含まれる生活扶助とあわせて確認します。

2.1 収入が最低生活費に届かない分が保護費として支給される

生活保護では、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます。

厚生労働省の「生活保護制度に関するQ&A」では、食費・被服費・光熱水費等の日常生活に必要な費用は生活扶助にあたり、10月から4月までのうち地域に応じて5か月から7か月間、冬季加算を支給すると説明されています。

生活扶助基準額の例(令和8年10月1日現在、児童養育加算等を含む)1/2

3人世帯・高齢者単身世帯・高齢者夫婦世帯・母子世帯の生活扶助基準額を東京都区部等と地方郡部等で比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」を参考にLIMO編集部作成

  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
  • 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
  • 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円

冬季加算は、この生活扶助の基準額に、地区区分と世帯人員に応じた額として加わる仕組みです。

3. 冬季加算の特別基準、外出が難しく常時在宅の人や乳児がいる世帯は1.3倍まで

冬季加算には、通常の額では暖房費をまかなえない世帯のための特別基準があります。局長通知にもとづき、対象と額を見ていきます。

3.1 対象は療養のため外出が著しく困難な人と乳児がいる世帯

局長通知が対象としているのは、傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難で、常時在宅せざるを得ない人か、乳児が世帯員にいる場合です。ここでいう乳児は、1歳の誕生日の前日までの間にある児童を指します。

そのうえで、通常の地区別冬季加算額によりがたいときに、1.3倍を掛けた額の範囲内で必要な額を認定して差し支えないとされています。1.3倍した額に10円未満の端数が出たときは、10円に切り上げます。

3.2 1.3倍の上限は単身でⅠ区1万6620円、Ⅵ区3420円

地区別冬季加算額は、世帯人員と地区区分で決まります。単身世帯の通常の額と、1.3倍にした上限を並べると次のとおりです。

冬季加算の通常の額と1.3倍の特別基準の上限(単身世帯・月額)2/2

単身世帯の地区別冬季加算額と、その1.3倍にあたる特別基準の上限を、Ⅰ区からⅥ区まで比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「生活保護法による保護の基準」、「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」をもとにLIMO編集部作成

  • Ⅰ区(北海道・青森県・秋田県):通常1万2780円、1.3倍1万6620円
  • Ⅱ区(岩手県・山形県・新潟県):通常9030円、1.3倍1万1740円
  • Ⅲ区(宮城県・福島県・富山県・長野県):通常7460円、1.3倍9700円
  • Ⅳ区(石川県・福井県):通常6790円、1.3倍8830円
  • Ⅴ区(栃木県・群馬県・山梨県・岐阜県・鳥取県・島根県):通常4630円、1.3倍6020円
  • Ⅵ区(その他の都府県):通常2630円、1.3倍3420円

2人世帯では、Ⅰ区の通常の額1万8140円に対して1.3倍は2万3590円、Ⅵ区の通常の額3730円に対して1.3倍は4850円です。1.3倍の額はあくまで上限で、その範囲内で必要な額が認定されます。

生活保護の冬季加算は、外出が難しく常に家で療養している人や乳児がいる世帯では、通常の1.3倍の範囲まで認められることがあります。単身世帯の上限は、Ⅰ区で月1万6620円、Ⅵ区で月3420円です。

家族に当てはまる人がいる場合は、障害者手帳や医師の診断書など状態の分かる書類をそろえ、担当のケースワーカーに冬季加算の額を確認しておくと安心です。

ここからは、特別基準の対象になる人の具体的な目安と、認定が始まる月、冬季加算をまとめて受け取れる場合を見ていきます。