4. 養育費の取り決めにかかる費用は自立更生のための用途として認められる
養育費の取り決めには、公正証書の作成や調停の申立てなどで費用がかかることがあります。実施要領の問答は、こうした費用の扱いを示しています。
4.1 恵与金などのうち養育費の履行確保にあてる額は収入として認定しない
問答は、恵与された金銭や補償金などのうち、世帯の自立更生のための用途に供される額を収入として認定しない扱いについて、その用途の一つに養育費の履行確保を挙げています。
対象になるのは、養育費の取決めに関する公正証書や調停申立て等に要する費用、養育費に係る保証サービスを利用した際の保証料に要する費用等として、必要と認められる最小限度の額です。
4.2 自立更生計画を立て、福祉事務所に相談しておく
自立更生のための用途として認められるのは、福祉事務所が世帯の事情を考慮して立てさせた自立更生計画の遂行に要する経費とされています。お金を使う前に、計画と金額を相談しておくことが大切です。
5. 養育費の調停・審判で家庭裁判所に行く交通費は移送費の対象
調停や審判のために家庭裁判所へ出向くときの交通費も、生活扶助の移送費として認められる場合があります。
5.1 子の養育費の支払いを求める調停・審判への出頭
局長通知は、生活扶助の移送費を認める場面の一つとして、被保護者が子の養育費の支払いを求める調停または審判のために家庭裁判所に出頭する場合を挙げています。
5.2 移送費は必要最小限度の交通費などを現物給付で
移送費は、ほかに経費を出す方法がないときに、乗車船券を交付するなど、なるべく現物給付の方法で行うとされています。範囲は必要最小限度の交通費、宿泊料、飲食物費です。
6. 法定養育費は取り決めまでの「つなぎ」、額は話し合いや調停で決める
法定養育費は、あくまで取り決めがされるまでの暫定的な仕組みです。
6.1 適切な額は父母の協議や裁判所の手続きで決める
同じ会見の概要では、法定養育費は取り決めがされるまでの暫定的・補充的なものであり、適切な養育費の額は父母の協議や裁判所の調停・審判により速やかに取り決めるべきものだと説明されています。
6.2 受け取った養育費は収入申告をしておく
生活保護法第61条は、収入に変動があったときなどに届け出る義務を定めています。養育費を受け取り始めたときや額が変わったときは、早めに福祉事務所へ伝えておきましょう。
7. まとめ
生活保護を受けている母子世帯は令和8年7月分で5万4892世帯です。母子世帯全体では養育費を現在も受けている割合が28.1%で、2026年4月施行の改正で、取り決めまでの暫定的な法定養育費(子ども1人月2万円)が設けられました。
生活保護を受けながら養育費の取り決めをするときは、公正証書や調停の費用、家庭裁判所への交通費の扱いがあります。手続きを始める前に、担当のケースワーカーに相談しておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」
- 法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」
- 法務省「法務大臣閣議後記者会見の概要」
- こども家庭庁「全国ひとり親世帯等調査」
- 厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」
- 厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」
鶴田 綾