子どもを育てるひとり親世帯にとって、別れた親から受け取る養育費は暮らしを支える大切なお金です。2026年4月1日からは、父母の離婚後の子の養育に関する民法等の改正が施行されました。
改正では、養育費の取り決めがされるまでの間、暫定的に請求できる「法定養育費」が設けられ、その額は子ども1人につき月2万円と定められました。一方、こども家庭庁の調査では、母子世帯で養育費を現在も受けている割合は28.1%にとどまっています。
この記事では、生活保護を受けている母子世帯の状況と、養育費の取り決めや受給の現状、法定養育費の仕組みを確認します。
※生活保護は、生活に困っているすべての国民に対し、国が困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助けるための制度です(生活保護法第1条)。受給に至る理由は、病気やけが、障害、高齢、失業、介護や子育てなど、さまざまです。この記事では、制度を必要とする方が安心して使えるよう、仕組みや手続き等をお伝えします。
1. 生活保護を受けている母子世帯は令和8年7月分で5万4892世帯、前年同月より6.5%減
はじめに、厚生労働省の被保護者調査で、生活保護を受けている母子世帯の数を見ておきます。
1.1 生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯
厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯でした。
1.2 母子世帯は保護停止中を除く世帯の3.4%
保護を停止している世帯を除いた163万5284世帯のうち、母子世帯は5万4892世帯で3.4%でした。前年同月の5万8698世帯と比べると3806世帯、率にして6.5%減っています。
2. 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額、仕送りや贈与も収入になる
養育費の話に入る前に、生活保護の保護費の決まり方を確認します。
2.1 収入が最低生活費に届かない分が保護費として支給される
生活保護では、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます。
- 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
- 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
- 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
- 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円
2.2 他からの仕送りや贈与による金銭は原則としてすべて収入に認定
厚生労働省の「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」で、次官通知は、他からの仕送りや贈与等による金銭について、社会通念上収入として認定することが適当でないもののほかは、すべて認定するとしています。
3. 養育費を現在も受けている母子世帯は28.1%、取り決めをしているのは46.7%
養育費の取り決めと受給の状況は、こども家庭庁の全国ひとり親世帯等調査で確認できます。
3.1 母子世帯の取り決め率46.7%、受給率28.1%
令和3年度全国ひとり親世帯等調査によると、養育費の取り決めをしている母子世帯は46.7%、現在も養育費を受けている母子世帯は28.1%でした。父子世帯では、取り決めをしているのが28.3%、現在も受けているのが8.7%です。
- 母子世帯:取り決めをしている46.7%、現在も受けている28.1%
- 父子世帯:取り決めをしている28.3%、現在も受けている8.7%
令和3年度の結果は推計値で、実数値だった前回の平成28年度調査(母子世帯の取り決め42.9%、受給24.3%)と比べるときは留意が必要とされています。
3.2 2026年4月の改正で「法定養育費」は子ども1人月2万円に
法務省によると、父母の離婚後の子の養育に関する民法等の改正は、2026年4月1日に施行されました。法定養育費の額は法務省令で定めることとされ、2025年11月28日の法務大臣閣議後記者会見の概要では、子ども1人につき月額2万円と定めたと説明されています。
法定養育費は、取り決めがされるまでの間に暫定的・補充的に請求できるようにするもので、養育費の標準的な額を定めるものではないとされています。
生活保護を受けている母子世帯は5万4892世帯で、母子世帯全体では養育費を現在も受けているのは28.1%にとどまります。2026年4月施行の改正では、取り決めまでの間に暫定的に請求できる子ども1人月2万円の法定養育費が設けられました。
養育費の取り決めや請求を考えるときは、受け取ったお金の扱いも含めて、事前に担当のケースワーカーに相談しておきましょう。
ここからは、生活保護を受けながら養育費の取り決めや請求をするときにかかる費用と、交通費の扱いを見ていきます。