3. 所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合がある
公的年金等の確定申告不要制度は、所得税の決まりです。国税庁も、公的年金等以外の所得金額が20万円以下で確定申告の必要がない場合でも、住民税の申告が必要な場合があると案内しています。
3.1 住民税に「20万円以下なら申告不要」の決まりはない
地方税法第317条の2では、公的年金等の支払を受けている人で、前年中に公的年金等に係る所得以外の所得がなかった人などについて、住民税の申告書の提出を求めない扱いを定めています。裏を返すと、年金以外の所得がある人は、その額が20万円以下でも住民税の申告が必要になることがあります。
たとえば、生命保険の個人年金を受け取っている人や、少額の原稿料などの雑所得がある人は、住んでいる市区町村に申告が必要かどうかを確かめておきたいところです。
3.2 源泉徴収票にない控除を受けるときも、住民税の申告が要る
年金だけの人でも、公的年金等の源泉徴収票に載っていない社会保険料控除や生命保険料控除、医療費控除などを住民税で受けるには、申告が必要です。地方税法は、これらの控除を受けようとする人を申告不要の扱いから外しています。
住民税の申告書の提出期限は3月15日で、提出先は1月1日時点で住んでいる市区町村です。申告をしないと、住民税の計算でこれらの控除が反映されません。
4. 公的年金等の確定申告不要制度の対象でも、還付申告はできる
確定申告が「不要」というのは、出さなくてもよいという意味で、出してはいけないわけではありません。国税庁は、医療費控除や社会保険料控除などの所得控除を使って所得税の還付を受けるための確定申告はできるとしています。
4.1 年金から引かれた所得税が戻るのは、源泉徴収された額がある場合
所得税の還付は、源泉徴収ですでに納めた所得税がある場合に発生します。公的年金等の源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄が0円の人は、還付申告をしても戻る所得税はありません。
還付申告書は、確定申告の期間とは関係なく、対象の年の翌年1月1日から5年間提出できます。
4.2 給与所得が20万円を超えたら、所得税の確定申告が必要になる
パートの給与所得などが20万円を超えると、公的年金等の確定申告不要制度の対象から外れます。その場合は、年金とパートの給与を合わせた1年分の所得税を、確定申告で計算し直すことになります。
勤務先で年末調整を受けていても、年金の分は年末調整に含まれません。給与収入が94万円に近い人は、12月の給与明細で1年分の支給額を確かめておくと判断しやすくなります。
5. まとめ
公的年金等の確定申告不要制度は、年金収入400万円以下と、年金以外の所得20万円以下の2つを満たした人が対象です。令和8年分は給与所得控除の最低額が74万円になり、ほかの所得がパートの給与だけなら給与収入94万円以下で20万円以下に収まります。
ただし、住民税には20万円以下の申告不要の決まりがありません。年金以外の所得がある人や、源泉徴収票にない控除を受けたい人は、3月15日までに住まいの市区町村へ申告しましょう。
参考資料
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.2030 還付申告」
- e-Gov法令検索「所得税法」
- e-Gov法令検索「地方税法」
- 日本年金機構「公的年金等の源泉徴収票」
鶴田 綾