2026年10月13日に公表された飯田橋・神楽坂社会保険労務士法人の「第2回 人的資本・労務リスク調査2026秋」では、従業員30~300名の企業270社のうち、女性管理職が「いない」か「10%未満」と答えた企業が合わせて61.9%でした。女性管理職を増やしたいと答えた企業は、女性管理職がいないか10%未満の企業でも、10%以上の企業でも、それぞれ45%台でした。
職場で管理職への登用の話が出たとき、仕事の責任とあわせて、年収がどのくらい変わるのかが気になる方もいるでしょう。
本記事では、まず厚生労働省の調査から、女性の部長級・課長級などの推定年収を確かめます。そのうえで、管理職に占める女性の割合や企業への調査の結果を見ながら、これからの働き方とお金について考えていきます。
1. 【女性管理職の年収はいくら?】部長級は推定893万1000円、課長級は757万5300円
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職別の表(雇用期間の定めのない人・女性・学歴計・企業規模計=10人以上、短時間労働者を含まない)から、役職ごとの推定年収を出してみます。ここでの推定年収は、6月分の毎月の給与(きまって支給する現金給与額)の12か月分に、前の年1年間の賞与などを加えて出した目安です。
1.1 女性管理職の平均年収と平均年齢
女性の推定年収は、部長級が893万1000円、課長級が757万5300円、係長級が605万5400円、役職についていない非役職が431万5400円です。平均年齢は、部長級が53.0歳、課長級が49.4歳、係長級が45.7歳、非役職が41.3歳で、平均の勤続年数はそれぞれ20.0年、19.0年、16.7年、9.7年でした。
役職ごとに平均年齢や勤続年数も違うため、役職だけで年収が決まっているわけではありません。それでも、役職によって、毎月の給与だけでなく賞与も含めた年収の目安が大きく変わることがわかります。
管理職になると、部下の育成や評価、チームの成果への責任など、仕事の中身も変わります。年収の目安を知っておくと、管理職を目指すかどうかを考えるときに、仕事の負担と収入の両方を見比べる材料になるでしょう。
また、推定年収は平均から出した目安で、同じ役職でも、会社の規模や業種、地域などによって年収は変わることがあります。自分の年収と照らし合わせるときは、今の役職でどのくらいの収入になっているのか、ひとつ上の役職になるとどう変わりそうかを考える手がかりとして使うとよいでしょう。
2. 【管理職に占める女性の割合は?】課長相当職以上で13.8%、部長相当職は9.2%
厚生労働省が2026年7月31日に公表した「令和7年度雇用均等基本調査」(常用労働者10人以上の民営企業が対象・2025年10月1日現在)によると、課長相当職以上(役員を含む)の管理職のうち、女性は13.8%でした。前回調査の13.1%から0.7ポイント上がっています。
役職ごとに見ると、女性の割合は、役員で21.0%、部長相当職で9.2%、課長相当職で13.2%、係長相当職で20.9%です。また、課長相当職以上(役員を含む)の女性管理職がいる企業は、企業規模10人以上の企業のうち54.1%でした。
前回調査と比べると、部長相当職は8.7%から9.2%に、課長相当職は12.3%から13.2%に上がっています。係長相当職は21.1%から20.9%でした。
課長相当職以上の女性管理職がいない企業もあることから、身近に女性の管理職がいるかどうかは、職場によって違うといえそうです。管理職としての働き方を思い描くとき、職場の中にお手本になる人がいるかどうかで、イメージのしやすさも変わってくるでしょう。
3. 【企業270社の調査では?】女性管理職ゼロか10%未満が61.9%、増やしたい企業は約45%
民間の調査も見てみます。冒頭で紹介した調査では、女性管理職が「いない」企業が31.5%、「10%未満」の企業が30.4%で、合わせて61.9%でした。女性管理職の割合が10%以上の企業は36.3%です。
女性管理職を積極的に、またはある程度増やしたいと答えた企業は、女性管理職がいないか10%未満の企業で45.5%、10%以上の企業で45.9%でした。一方で、女性活躍の施策を「特に実施していない」と答えた企業は、それぞれ42.5%と13.3%です。女性管理職を増やすうえでの課題として最も多く挙がったのは、「管理職候補となる女性社員が少ない」の45.9%でした。
課題として最も多かったこの回答は、管理職に登用する段階だけでなく、候補となる人を育てる段階から取り組みが求められていることを表していると考えられます。
ただし、この調査は従業員30~300名の企業270社の回答で、回答者の93.3%が代表者または役員です。企業の側が自社の状況をどう見ているかを答えたもので、働く人に聞いた調査ではありません。また、施策と結果の関係は、相関・関連として示されているものです。
働く側から見ると、会社の方針だけでなく、研修や評価の仕組みなど、実際にどんな取り組みがあるのかを知っておくことが、自分のキャリアを考える手がかりになりそうです。管理職を目指すかどうかにかかわらず、職場の仕組みを知っておくことは、これからの働き方を選ぶときの判断材料の一つになるでしょう。
ここまでをまとめると、令和7年の調査で、女性の推定年収は部長級が893万1000円、課長級が757万5300円でした。課長相当職以上の管理職のうち女性は13.8%で、民間の調査では、女性管理職がいないか10%未満という企業が61.9%ありました。年収の目安と職場の状況の両方を知っておくことが、これからの働き方を考える出発点になります。
