「親の葬儀を終えて、ようやく少し落ち着いた。健康保険から葬儀の費用が一部戻ると聞いたけれど、どこに、何を出せばいいのだろう」。各種手続きなどをする慌ただしい日々の中で、そう感じる方もいるかもしれません。
大切な方を見送ったあとは、気持ちの整理がつかないまま、多くの手続きが続きます。ただ、葬儀にかかわるお金で見落としやすい点が3つあります。亡くなった方が加入していた健康保険によって、受け取れるお金の名前や申請先が違うこと。申請しなければ受け取れず、期限があること。そして、葬儀費用そのものは見積もりの段階で確かめておく必要があること。
ここでは、横浜市に住んでいた方が亡くなったケースをモデルに、健康保険から受け取れるお金を、協会けんぽと横浜市の案内で確かめます。
※編集部:本記事のケースは、協会けんぽと横浜市の公表資料をもとに設定した例です。国民健康保険と後期高齢者医療制度の葬祭費の額は、自治体(後期高齢者医療制度は都道府県ごとの広域連合)によって異なります。
1. 健康保険から戻るお金は?5万円の例
まずは、受け取れるお金の種類からみていきましょう。亡くなった方が加入していた健康保険によって、名前と金額が変わります。
- 【会社員などで協会けんぽに加入】「埋葬料」5万円(協会けんぽ「埋葬料・埋葬費」)
- 【74歳以下で横浜市の国民健康保険に加入】「葬祭費」5万円(横浜市「葬祭費の支給」)
- 【75歳以上などで神奈川県の後期高齢者医療制度に加入】「葬祭費」5万円(横浜市「後期高齢者医療制度の葬祭費はどのような制度ですか。」)
亡くなった方が加入していた健康保険ごとの、受け取れるお金の名前と金額の例です。1/6
出所:協会けんぽ「埋葬料・埋葬費」、横浜市「葬祭費の支給」、横浜市「後期高齢者医療制度の葬祭費はどのような制度ですか。申請に必要なものは何ですか。」をもとにLIMO編集部作成
※国民健康保険と後期高齢者医療制度の葬祭費は、自治体や広域連合によって額が異なります。お住まいだった地域の窓口で確認してください。
モデルケースでは、どの健康保険に加入していても、受け取れる額は5万円です。ただし、名前が「埋葬料」か「葬祭費」かで、申請する人や申請先が変わります。
2. 誰が申請する?喪主か生計を維持された人
申請できる人は、制度ごとに次のように定められています。
- 【国民健康保険・後期高齢者医療制度の葬祭費】葬祭を行った方(喪主)
- 【協会けんぽの埋葬料】亡くなった被保険者に生計を維持されていた方
- 【協会けんぽの埋葬費】生計を維持されていた方がいない場合に、実際に埋葬を行った方。5万円の範囲内で、霊柩車代や火葬料などの実費
協会けんぽでは、亡くなったのが被扶養者(家族)の場合も、被保険者が申請すると「家族埋葬料」として5万円が支給されます。葬儀を誰が取り仕切ったか、誰の収入で暮らしていたかによって、申請する人が変わる点に気をつけたいところです。
3. いつまでに申請する?期限は2年
これらのお金は、申請しなければ支給されません。横浜市の国民健康保険と後期高齢者医療制度の葬祭費は、葬祭を行った日の翌日から2年を過ぎると時効となり、申請ができなくなります。
モデルケース(横浜市)の申請先と申請の期限です。3/6
出所:横浜市「葬祭費の支給」、横浜市「後期高齢者医療制度の葬祭費はどのような制度ですか。申請に必要なものは何ですか。」、協会けんぽ「埋葬料・埋葬費」をもとにLIMO編集部作成
葬祭費の申請先は、申請する人の住所ではなく、亡くなった方が住んでいた区の区役所保険年金課です。協会けんぽの埋葬料は、加入していた協会けんぽの支部に申請します。協会けんぽの申請期限は、加入していた支部で確認してください。
ここからは、葬儀費用そのもののトラブルと、退職して間もなく亡くなった場合の扱いを確かめます。