夫婦で長く働いてきた共働き世帯では、夫に先立たれたときの年金がどうなるのか、気になっている方もいるでしょう。自分も厚生年金を払ってきたのに、遺族年金が少ないと聞いて不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
労働政策研究・研修機構のまとめによると、2024年の共働き世帯は1300万世帯で、専業主婦世帯(508万世帯)の約2.6倍です。日本年金機構によると、65歳以降の遺族厚生年金は、妻自身の老齢厚生年金を先に受け取り、その差額が支給される仕組みです。
この記事では、65歳以降の遺族厚生年金の決まり方と、妻が長く働いた場合に遺族厚生年金がどこまで減るのかを、2026年度の金額で整理します。
1. 65歳からの遺族厚生年金は「自分の厚生年金が先」
夫を亡くした妻が65歳以上で、自分の老齢厚生年金も受け取れる場合は、2つの年金の受け取り方にルールがあります。
1.1 遺族厚生年金の額は、2つの計算のうち多いほう
65歳以上の妻の遺族厚生年金は、次の2つのうち多いほうの額になります。
- 夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3
- 夫の報酬比例部分の2分の1と、妻自身の老齢厚生年金の2分の1の合計
妻の老齢厚生年金が少ないうちは前者、夫の報酬比例部分の半分を超えると後者が多くなります。
1.2 自分の老齢厚生年金の分だけ、遺族厚生年金が止まる
妻自身の老齢厚生年金は全額支給されます。そのうえで、遺族厚生年金は、老齢厚生年金に相当する額が支給停止になります。
つまり、妻が受け取る遺族厚生年金は「上の計算で決まった額」から「自分の老齢厚生年金」を引いた差額です。老齢基礎年金は、これとは別にそのまま受け取れます。
2. 夫と同じくらい働いた妻は、遺族厚生年金がゼロになる
このルールでは、妻自身の老齢厚生年金が増えるほど、遺族厚生年金は減っていきます。
- 妻の老齢厚生年金が夫の報酬比例部分の半分以下:遺族厚生年金が減っても、2つの合計は専業主婦の妻と同じ額
- 妻の老齢厚生年金が夫の報酬比例部分と同じ以上:遺族厚生年金は0円
夫と同じくらいの給与で同じ年数働いてきた妻は、65歳以降、遺族厚生年金を受け取れないことになります。ただし、自分の老齢厚生年金が多い分、受け取る総額は専業主婦の妻より多くなります。
図のように、女性の平均的な給与で38年働いた妻の遺族厚生年金は年17万6933円で、専業主婦だった妻(年84万1028円)の約5分の1です。それでも、自分の老齢厚生年金を合わせた総額は、専業主婦だった妻より年10万3409円多くなります。