4. 年金額が改定されたとき、生活保護の収入認定は改定前と改定後の額を順に充てる
年金の額は毎年度の改定などで変わります。改定の時期と支払いの月がずれるときの扱いについても、実施要領等に問答の形で示されています。
4.1 1回の支払いに改定前と改定後の額が含まれる場合の扱い
実施要領等の問(第8の51)は、恩給や年金の額が改定され、改定時期が支払期月と一致せず、1回の支給額に改定前の額と改定後の額が含まれる場合を取り上げています。
これに対する答は、収入認定によって保護の停止や廃止になる場合を除き、順を追って充当していく取り扱いでよい、というものです。改定前の月の分と改定後の月の分を、それぞれの月に当てはめて数える考え方です。
4.2 年金額改定通知書や年金振込通知書は、届いたら保管しておく
年金の額が変わると、日本年金機構から通知書が届きます。生活保護を受けている人は、収入の状況を福祉事務所に申告する必要があるので、届いた通知書はすぐに見せられるよう保管しておくと手続きが進めやすくなります。
5. 国民年金の任意加入保険料は、年金の受給権を得るためなら収入から差し引ける
生活保護を受けている人が、年金を受け取れるようにするために国民年金に任意加入するケースもあります。その保険料の扱いも、実施要領等に示されています。
年金の受給権を得るためのものに限って認められるものであり、将来の年金額を増やすためのものは認められない。
出所:厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」
5.1 受給資格期間に足りない人の保険料が対象
収入から控除が認められるのは、年金の受給権を得るための任意加入保険料に限られます。すでに受給権があり、年金額を増やす目的で任意加入する場合の保険料は認められません。
また、任意加入しても過去の未納分を納めないと受給権を得られない場合は、受給権を得るために必要な限度で、未納分の保険料も控除してよいとされています。
6. 年金の額が変わったら届け出る、生活保護法第61条の届出の義務
年金を受け取りながら生活保護を受けている人にとって、年金額の変化は収入の変化です。生活保護法には、届出の義務が定められています。
被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。
出所:e-Gov法令検索「生活保護法」第61条
6.1 新しく年金を受け取れるようになったときも届け出る
65歳になって老齢年金を受け取り始めたときや、遺族年金・障害年金の受給が決まったときも、収入の状況が変わったことになります。年金の決定通知書が届いたら、福祉事務所のケースワーカーに早めに伝えておきましょう。
7. まとめ
生活保護では、偶数月に2か月分が入る老齢年金を、受給月から次回の受給月の前月までの各月に分けて収入認定します。介護保険料が天引きされている場合は、天引き後に実際に受け取った額が認定の対象です。
老齢基礎年金の満額7万608円を受け取る68歳単身でも、東京都区部等の生活扶助基準額7万7980円には届かず、家賃があれば住宅扶助も最低生活費に加わります。年金の額が変わったときや新たに受給が決まったときは、福祉事務所に届け出ることが必要です。
参考資料
- 厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」
- 厚生労働省「生活扶助基準額について」
- 厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- e-Gov法令検索「生活保護法」
鶴田 綾