4. 政令指定都市で生活保護を受けている世帯の高齢者世帯の割合、北九州市は6割を超える
被保護者調査では、政令指定都市ごとの世帯類型別の世帯数も公表されています。保護を停止している世帯を除いた世帯数に占める高齢者世帯の割合を計算すると、市によって違いがありました。
4.1 大阪市は10万8450世帯のうち6万2695世帯が高齢者世帯
大阪市で生活保護を受けている世帯は10万9102世帯で、保護停止中を除くと10万8450世帯です。このうち高齢者世帯は6万2695世帯で、割合は57.8%になります。
主な政令指定都市の高齢者世帯の割合は次のとおりです。
- 北九州市:61.7%(1万7795世帯のうち1万984世帯)
- 大阪市:57.8%(10万8450世帯のうち6万2695世帯)
- 熊本市:57.2%(1万2050世帯のうち6888世帯)
- 名古屋市:52.3%(3万8461世帯のうち2万114世帯)
- 横浜市:50.4%(5万5965世帯のうち2万8201世帯)
- 札幌市:49.9%(5万7439世帯のうち2万8644世帯)
- 仙台市:45.7%(1万5630世帯のうち7146世帯)
4.2 仙台市と相模原市は高齢者世帯の割合が5割を下回る
20市の中で高齢者世帯の割合が最も低いのは仙台市の45.7%で、相模原市の46.3%が続きます。全国の55.2%と比べると、高齢者世帯以外の世帯の比重が大きい市です。
保護率の高さと高齢者世帯の割合は、必ずしも同じ並びにはなりません。札幌市は保護率が20市で2番目に高い一方、高齢者世帯の割合は49.9%と全国を下回っています。
5. 生活保護の保護率は、全国と市で割り算に使う人口が違う
被保護者調査の保護率を見比べるときには、注記にある計算方法も確認しておくと、数字の読み違いを防げます。
5.1 全国は人口推計、都道府県と市は令和7年国勢調査の人口速報集計で割っている
全国の保護率は、生活保護を受けている人の数を同じ月の総務省「人口推計(概算値)」で割って計算されています。都道府県・政令指定都市・中核市の保護率は、「令和7年国勢調査 人口速報集計」で割ったものです。
全国の1.60%と市の保護率は、分母にした人口の出所が異なります。市どうしを比べるときは同じ方法で計算された数字なので、並べて見ることができます。
5.2 都道府県の数字には政令指定都市と中核市の分が入っていない
被保護者調査の都道府県別の数字は、政令指定都市と中核市の分を含まずに集計されています。たとえば大阪府の保護率は1.91%ですが、大阪市や堺市、東大阪市などは別に掲載されています。
住んでいる地域の状況を知りたいときは、都道府県の欄だけでなく、市の欄もあわせて確かめる必要があります。
6. 生活扶助基準額の例、高齢者夫婦世帯は東京都区部等で月12万5460円
生活保護で支給される額は、地域や世帯の構成で変わります。厚生労働省の「生活保護制度に関するQ&A」には、令和8年10月1日現在の生活扶助基準額の例が載っています。
6.1 東京都区部等と地方郡部等で、高齢者夫婦世帯は月1万3740円違う
- 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
- 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
- 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
- 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円
3人世帯と母子世帯の額には児童養育加算等が含まれます。生活扶助のほか、必要に応じて住宅扶助や医療扶助なども支給されます。
6.2 保護費は最低生活費から収入を差し引いた差額
厚生労働省は、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されると説明しています。年金や働いて得た収入がある人も、それが最低生活費に届かなければ対象になりえます。
7. まとめ
令和8年7月分の被保護者調査では、全国の保護率は1.60%でした。政令指定都市では大阪市の4.48%、中核市では函館市の4.47%が最も高く、浜松市や豊田市は1%を下回っています。
生活に困ったときの相談先は、住んでいる地域の福祉事務所の生活保護担当です。自分の地域の基準額や手続きは、窓口で確かめることができます。
参考資料
鶴田 綾