4. 65歳以上の受給者は介護保険の給付と介護扶助を組み合わせて使う
65歳以上の生活保護受給者は、介護保険の被保険者のまま介護扶助を受けます。厚生労働省の「生活保護法による介護扶助の運営要領について」をもとに、その流れを見ていきます。
4.1 要介護認定は介護保険の被保険者として受ける
運営要領は、65歳以上の人は介護保険法の規定にもとづき、被保険者として要介護認定等を受けるとしています。
介護扶助は、介護保険制度の給付の対象となるサービスと同等のサービスを、介護保険制度とあいまって保障するものと位置づけられています。
4.2 介護券に書かれた額をこえる利用者負担は求められない
介護扶助が決まると、福祉事務所は介護券を発行し、指定介護機関へ直接送ります。介護券は暦月を単位として発行されます。
運営要領は、指定介護機関が介護券に記載された本人支払額以上の利用者負担を徴収しないよう指導することを求めています。
4.3 区分支給限度基準額をこえるサービスは対象外
居宅介護等の介護扶助は、介護保険の区分支給限度基準額などの範囲内とされています。
限度額をこえるサービスは全額が自己負担になるため、運営要領は利用を止めるよう指導すべきとしています。ケアプランを組むときに、限度額の範囲に収まっているかを確認しておきたい点です。
- 介護老人福祉施設:2万1565人
- 介護老人保健施設:1万1040人
- 介護医療院:2298人
- 地域密着型介護老人福祉施設:684人
5. 40〜64歳で介護保険の被保険者でない人は、障害福祉サービスの活用が先になる
40歳以上65歳未満の受給者は、加入している医療保険によって介護扶助の受け方が変わります。
5.1 国民健康保険から外れると介護保険の被保険者にならない
国民健康保険法第6条第9号により、生活保護を受けている世帯の人は国民健康保険の被保険者になりません。
職場の健康保険などにも入っていない40〜64歳の人は介護保険の被保険者ではないため、運営要領では「被保険者以外の者」として扱われます。
5.2 特定疾病による要介護状態で、障害福祉サービスを活用したうえで不足する分
被保険者以外の人が介護扶助の対象になるのは、介護保険法施行令が定める特定疾病によって要介護状態または要支援状態にある場合です。
運営要領は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)による自立支援給付等を優先して活用し、それでも介護サービスが欠かせないと認められる場合に介護扶助を行うとしています。要介護状態の審査判定は、福祉事務所が市町村に委託して行います。
6. 介護扶助の申請は、ケアプランの写しを添えて福祉事務所へ
最後に、介護扶助を申請するときの手順を確認します。
6.1 保護申請書に介護保険の被保険者資格の有無を書く
運営要領によると、介護扶助の申請では、保護申請書に介護保険の被保険者資格の有無などを記載して福祉事務所長に提出します。介護保険の被保険者が居宅介護などを申請する場合は、居宅介護支援計画等の写しも添えます。
本人が希望する場合などは、本人の同意を得たうえで、福祉事務所が居宅介護支援事業者からケアプランの写しを直接受け取ることもできます。
6.2 相談先は福祉事務所の生活保護担当とケアマネジャー
介護が必要になったら、地区を担当するケースワーカーと、ケアプランを作るケアマネジャーの両方に早めに伝えておくと手続きが進めやすくなります。
介護扶助の決定や本人支払額の扱いは世帯の収入によって変わるため、具体的な額は福祉事務所で確認してください。
参考資料
- 厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「被保護者調査」
- e-Gov法令検索「生活保護法」
- 厚生労働省「生活保護法による介護扶助の運営要領について」
- 厚生労働省「生活保護制度」
鶴田 綾