3. 妊娠4か月以上の死産や子どもの葬祭にも、葬祭扶助の取り扱いが定められている
葬祭扶助は大人の葬祭だけを想定したものではありません。実施要領では、死産や子どもの葬祭についても取り扱いを定めています。
3.1 妊娠4か月以上で死産した場合も葬祭費を認定できる
実施要領は、妊娠4か月以上で死産した場合には葬祭費を認定して差し支えないとしています。
3.2 子どもの葬祭でも、地域の実態が大人と同様なら大人の基準を使える
子どもの葬祭費用が子どもの基準額を超え、その地域の葬祭の実態が大人と同様であると認められるときは、大人の基準を特別基準として適用できます。大人と子どもの区別は、火葬料について市町村条例に定めがあればその条例により、なければ地域の慣行によります。
4. 身元が分からない人を市町村長が葬った場合は、葬祭扶助の対象にならない
葬祭扶助は、葬祭を行う人に対して行われる扶助です。そのため、誰が葬祭を行ったかによって、適用されない場合があります。
4.1 市町村長が葬祭を行った場合や、その依頼で民生委員が行った場合
身元が判明しない自殺者などに対して市町村長が葬祭を行った場合には、葬祭扶助は適用されません。民生委員が市町村長などの依頼を受けて行った場合も、市町村が葬祭を行ったものとして扱われます。
一方で、亡くなった人の近隣の民生委員が個人的に葬祭を行った場合は、葬祭扶助を適用して差し支えないとされています。
4.2 市町村長の埋葬のあとに申請があれば、その後に必要な範囲で適用できる
市町村長が埋葬を行ったあとに葬祭扶助の申請があった場合は、埋葬後に必要とされる範囲内で適用することは差し支えないとされています。
5. 医療保険の埋葬料や葬祭費が出る場合の生活保護の取り扱い
亡くなった人が健康保険などに加入していた場合、医療保険から埋葬料や葬祭費が支給されることがあります。実施要領の取扱いを示した厚生労働省の通知では、その扱いも示しています。
5.1 葬祭扶助の基準をわずかに上回る埋葬料が出るときの扱い
健康保険法などの医療保険から葬祭扶助の基準をわずかに上回る埋葬料・葬祭費・葬祭料が支給され、職場での交際などから真にやむを得ないと認められる場合は、実際に葬祭にあてた額を収入として認定せず、葬祭の需要はそれで満たされたものとして扱って差し支えないとされています。
被保護者調査から、生活保護を受けている高齢者世帯の数も確認しておきます。
被保護者調査(令和8年7月分概数)では、保護停止中を除く163万5284世帯のうち、高齢者世帯が90万3116世帯で55.2%でした。内訳は次のとおりです。
- 単身世帯:84万4423世帯(令和7年7月は84万3622世帯)
- 2人以上の世帯:5万8693世帯(令和7年7月は6万1106世帯)
6. 葬祭扶助は葬儀の前に福祉事務所へ相談する
葬祭扶助の基準額は2026年4月から1級地・2級地の大人で22万2000円以内になり、扶養義務者がいない場合の1000円加算や、死亡診断書の費用の上乗せなどの特別基準があります。身元が分からない人を市町村長が葬った場合のように、適用されない場合もあります。
葬祭扶助を使えるかどうかは、葬祭を行う人や亡くなった人の状況で決まります。葬儀社に依頼する前に、亡くなった人が住んでいた地域の福祉事務所に相談してください。
参考資料
- e-Gov法令検索「生活保護法」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」
- 厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」
- 厚生労働省「被保護者調査(令和8年7月分概数)」
鶴田 綾