身近な人が亡くなったとき、葬儀の費用をどう用意するかは急いで決めなければならないことの一つです。生活保護には、葬祭にかかる費用を支える葬祭扶助があります。

葬祭扶助の基準額は2026年4月に引き上げられ、1級地と2級地の大人は22万2000円以内になりました。厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領」には、基準額に上乗せできる場合と、葬祭扶助が適用されない場合も定められています。

この記事では、葬祭扶助の基準額の改定と、特別基準として上乗せが認められる費用を確認します。

1. 生活保護の葬祭扶助の基準額は、2026年4月から引き上げられた

葬祭扶助の基準額は、生活保護法による保護の基準の別表第8で、級地と大人と子どもの区分ごとに決まっています。2026年4月施行の改正で、すべての区分の額が上がりました。

1.1 1級地と2級地の大人は21万9000円から22万2000円以内に

大人の基準額は、1級地と2級地が21万9000円から22万2000円以内に、3級地が19万1600円から19万4300円以内になりました。

子どもの区分は、1級地と2級地が17万5200円から17万7600円以内に、3級地が15万3300円から15万5400円以内に上がっています。

葬祭扶助の大人の基準額は、2026年4月から1級地・2級地で3000円、3級地で2700円上がりました1/2

厚生労働省の2026年4月1日施行の生活保護実施要領等をもとに、葬祭扶助の大人の基準額を2025年度と2026年4月からで比べた横棒グラフ。1級地・2級地は21万9000円以内から22万2000円以内、3級地は19万1600円以内から19万4300円以内

出所:厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」をもとにLIMO編集部作成

1.2 基準額の範囲は、検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨などの費用

生活保護法第18条は、葬祭扶助の範囲を、検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものと定めています。支給は、困窮のため最低限度の生活を維持できない人が葬祭を行う場合などが対象です。

基準額はいずれも「以内」で定められており、実際の費用がそれを下回れば、かかった額の範囲で支給されます。

2. 葬祭扶助の基準額に、特別基準として上乗せできる費用がある

実施要領では、基準額だけでは足りない事情があるときに、特別基準として上乗せできる費用を定めています。主なものは次のとおりです。

2.1 葬祭を行う扶養義務者がいない場合は1000円を加算

生活保護法第18条第2項第1号に該当する死者、つまり被保護者が亡くなり、葬祭を行う扶養義務者がいないために扶養義務者以外の人が葬祭を行うときは、基準額に1000円を加えた額まで認定できます。

2.2 死亡診断書・死体検案書の費用は5350円を超えた分を加算

死亡診断または死体検案にかかる費用(文書作成の手数料を含む)が5350円を超える場合は、超えた額を加算できます。火葬や埋葬までの間に遺体を保存するため特別な費用が必要なときは、必要最小限度の実費も認定できます。

葬祭扶助は、基準額に火葬料や運搬費の加算、さらにこうした特別基準を重ねて、必要な額が決まる仕組みです。

まず確かめたいのは、亡くなった人の住んでいた地域の級地と、葬祭を行う人が誰になるかという点です。葬儀社と契約する前に、福祉事務所の担当者に葬祭扶助の対象になるかを確認できます。

次のページでは、死産のときの扱いや、葬祭扶助が適用されない場合、医療保険の葬祭費との関係を見ていきます。