退職金の平均額として紹介される数字は、大きな会社を含む全国の調査であることが多く、中小企業で働く人には実感とずれることがあります。勤め先の規模や、辞めるときの理由によっても金額は変わります。
東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」は、都内の従業員10人から299人の中小企業を対象に、退職金を2年ごとに調べています。最新の2024年の調査では、大学卒で定年まで勤めた場合のモデル退職金は1149万5000円でした。
この記事では、学歴別のモデル退職金と、勤続年数ごとに自己都合退職と会社都合退職でどれだけ差が出るのかを見ていきます。
1. 都内の中小企業の退職金は大学卒の定年で1149万5000円
まずは定年時の退職金から確認します。東京都の調査は、2024年7月31日時点の状況について、都内の中小企業3500社に調査票を送り、659社から得た回答を集計したものです。
1.1 モデル退職金は「普通の能力と成績」で勤めた場合の水準
モデル退職金とは、学校を卒業してすぐに入社した人が、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金の水準です。定年時の金額は、学歴によって次のように分かれました。
- 大学卒:1149万5000円
- 高専・短大卒:992万円
- 高校卒:974万1000円
大学卒と高校卒では175万4000円の差があります。いずれも1000万円前後の水準です。
1.2 退職金制度があるのは64.2%
そもそも、すべての中小企業に退職金制度があるわけではありません。同じ調査で「退職金制度あり」と答えた企業は64.2%でした。
制度がある企業のうち、退職一時金のみの企業は76.1%、退職一時金と退職年金を併用する企業は17.3%、退職年金のみの企業は6.6%です。
2. 中小企業の退職金は自己都合か会社都合かで変わる
定年より前に辞める場合は、辞める理由によって退職金が変わります。大学卒のモデル退職金で、自己都合退職と会社都合退職を比べてみます。
2.1 大学卒の勤続20年では61万3000円の差
【自己都合退職】
- 勤続10年(32歳):112万5000円
- 勤続15年(37歳):209万3000円
- 勤続20年(42歳):346万8000円
- 勤続25年(47歳):507万3000円
- 勤続30年(52歳):750万7000円
【会社都合退職】
- 勤続10年(32歳):144万8000円
- 勤続15年(37歳):255万9000円
- 勤続20年(42歳):408万1000円
- 勤続25年(47歳):615万6000円
- 勤続30年(52歳):776万2000円
勤続20年では、自己都合が346万8000円、会社都合が408万1000円で、61万3000円の差があります。差が最も大きいのは勤続25年で、108万3000円でした。
2.2 勤続年数が長いほど金額は増える
自己都合退職でも、勤続10年の112万5000円から勤続30年の750万7000円まで、勤続年数に応じて金額は大きくなります。定年まで勤めた場合の1149万5000円は、勤続10年の自己都合退職の10倍を超える水準です。
都内の中小企業のモデル退職金は、大学卒の定年で1149万5000円でした。定年前に自己都合で辞めると、勤続20年でも346万8000円にとどまります。
自分の勤め先の退職金の計算方法は、就業規則や退職金規程で確かめられます。
ここからは、全国の調査との数字の違いや、中小企業の定年後の継続雇用の状況、退職金規程で確かめたい点を見ていきます。