家族が亡くなったあとは、葬儀や役所の届出、相続の準備など、短い期間にたくさんの手続きが重なります。

そのなかで後回しにしがちなのが、遺族年金の請求です。

遺族年金は、亡くなった方の加入状況などの条件を満たしていても、年金請求書を提出して初めて支給が始まります。

提出先は請求する年金の種類によって市区町村の役所か年金事務所に分かれ、請求してから実際に振り込まれるまでには数カ月かかります。

この記事では、遺族年金の請求書の提出先と必要書類、請求から振り込みまでの流れ、請求の前後で注意したい時効や届出のポイントを解説します。

1. 遺族年金を受け取るには「年金請求書」の提出が必要

まずは、遺族年金の種類と、受け取りが始まるまでの基本的な考え方を押さえておきましょう。

1.1 遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類

遺族年金には、国民年金の「遺族基礎年金」と、厚生年金保険の「遺族厚生年金」があります。

亡くなった方の年金の加入状況などによって、どちらか一方、または両方が支給されます。

遺族基礎年金は、子のある配偶者または子が受け取れる年金で、2026年度の年金額は子のある配偶者が受け取る場合で年84万7300円(1956年4月1日以前生まれの方は年84万4900円)に、子の人数に応じた加算額が加わります。

子の加算額は、1人目と2人目が各24万3800円、3人目以降が各8万1300円です。

遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が基本で、厚生年金の加入期間や報酬の額によって金額が変わります。

1.2 受け取れるのは「亡くなった月の翌月分」から

遺族年金は、亡くなった月の翌月分から受け取ることができます。

ただし、受け取る権利があっても、年金請求書を提出しない限り支給は始まりません。

請求が遅れても権利が発生した時点にさかのぼって受け取れる分はありますが、後で触れる時効もあるため、落ち着いたら早めに手続きを進めることが大切です。

2. 請求書の提出先は、請求する年金の種類で変わる

遺族年金の請求書は、遺族基礎年金だけを請求するのか、遺族厚生年金も含めて請求するのかで、提出先と様式が異なります。

2.1 遺族基礎年金だけなら市区町村の役所

遺族基礎年金だけを請求する場合は、住んでいる市区町村の役所に「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号」を提出します。

ただし、亡くなった日が国民年金の第3号被保険者期間中だった場合は、年金事務所または街角の年金相談センターが提出先になります。

2.2 遺族厚生年金も請求するなら年金事務所

会社員や公務員だった方が亡くなり、遺族厚生年金も請求する場合は、年金事務所または街角の年金相談センターに「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」を提出します。

共済組合などに加入していた期間がある方も、年金事務所に請求書を出すことで、その期間の年金もあわせて請求できます。

2.3 自分の老齢年金が未請求なら一緒に請求する

遺族年金を請求する人が、自分の老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取る権利を持ちながら、まだ請求していない場合は、遺族年金とあわせて請求します。

年金の受け取り方が複数ある場合は調整のルールもあるため、窓口で相談しながら進めると安心です。

3. 遺族年金の請求に必要な書類

年金請求書には、亡くなった方との関係や、生計を維持されていたことを確認するための書類を添付します。

遺族年金の請求に必要な主な書類2/3

遺族年金の請求に必要な主な書類

出所:日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」、日本年金機構「遺族基礎年金を受けられるとき」をもとにLIMO編集部作成

3.1 すべての人に必要な書類

遺族基礎年金・遺族厚生年金のどちらを請求する場合も、主に次の書類が必要です。

  • 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 亡くなった方の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに含まれていれば不要)
  • 請求する人の収入が確認できる書類(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
  • 子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要。高校などに在学中は在学証明書または学生証のコピーなど)
  • 死亡診断書(死体検案書など)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
  • 受取先の金融機関の通帳など(本人名義)

戸籍謄本と住民票は、受給権発生日以降に交付されたもので、提出日から6カ月以内のものが必要です。

受取口座の通帳などは、請求書に金融機関の証明を受けた場合や、公金受取口座を利用する場合は不要です。

3.2 マイナンバーを記入すれば省略できる書類も

年金請求書にマイナンバーを記入すると、世帯全員の住民票の写し、請求する人の収入が確認できる書類、子の収入が確認できる書類の添付を省略できます。

戸籍謄本も、請求する人が亡くなった方の配偶者または子であれば、マイナンバーの記入で省略できます。

役所で取りそろえる書類が減るため、手続きの負担を軽くしたい場合は、マイナンバーの記入を検討するとよいでしょう。

3.3 状況によって追加で必要になる書類

家族の状況や亡くなった原因によっては、次のような書類が追加で必要になります。

  • 交通事故など第三者の行為が原因で亡くなった場合:第三者行為事故状況届、交通事故証明など
  • 遺族年金を受け取る子が3人以上いる場合:3人目以降を記入する別紙様式
  • 保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて25年未満の場合:合算対象期間が確認できる書類(戸籍の附票の写しなど)

必要な書類はマイナンバーの登録状況や子の有無などによって変わるため、事前に年金事務所や街角の年金相談センター、ねんきんダイヤルに確認しておくと二度手間を防げます。

3.4 書類をそろえる前に確認しておきたい3つのこと

請求の準備を始める前に、次の3点を整理しておくと、提出先や必要書類を判断しやすくなります。

  • 亡くなった方が会社員・公務員として厚生年金に加入していたか(提出先が変わる)
  • 18歳になった年度の3月31日までの子がいるか(遺族基礎年金の対象になるか)
  • 請求する人自身が老齢年金を受け取る年齢で、まだ請求していないか(あわせて請求する)

ここからは、請求書を出したあと、年金が振り込まれるまでの流れと、請求の前後で気をつけたい点を見ていきます。