2. 【22歳から定年まで勤めた大卒男性の退職金は平均2134.9万円】勤続35年で定年退職した人は1940.7万円

では、実際に定年まで勤めて退職した人は、どのくらいの退職金を受け取っているのでしょうか。同じ調査の実績の表で確かめておきましょう。

2.1 定年退職した大学卒の男性の平均退職金=22歳で入社し定年まで勤めた人は2134.9万円

同調査の「産業、勤続年数、学歴別定年退職者の平均退職金額(男性)」によると、令和6年度の1年間(決算期間)に定年で退職した大学卒の男性のうち、22歳で入社して定年まで勤めた「満勤勤続」の人の平均退職金額は2134.9万円でした。集計した企業は65社です。

2.2 勤続年数別の平均退職金=勤続25年は1200.5万円、勤続30年は1572.9万円

勤続年数ごとに見ると、勤続25年は1200.5万円(9社)、勤続30年は1572.9万円(8社)、勤続35年は1940.7万円(20社)でした。同じ定年退職でも、途中から入社して勤続年数が短い人ほど、平均退職金は少なくなっています。ただし、集計した企業の数が少ない区分もあるため、目安として見ておく必要があるでしょう。

定年退職した大学卒の男性の平均退職金(令和6年度)2/2

定年退職した大学卒の男性の平均退職金(令和6年度)

出所:中央労働委員会「令和7年退職金、年金及び定年制事情調査」をもとにLIMO編集部作成

なお、この章の金額は実際に定年退職した男性の平均で、前の章のモデル退職金は条件を決めて想定した金額です。定年退職者の金額は、退職した人の数で重みをつけた平均です(同表の注)。数字の性格が違うため、並べるときは目安として見ておきましょう。定年まで同じ会社に勤めるかどうかで、退職金の金額は変わってくると考えられます。退職金の面では、今の会社での勤続年数がどこで区切られるかも考えておきたいところです。

定年のときに受け取る退職金は、人によっては一度に受け取るお金のなかで最も大きな金額になるでしょう。住宅ローンの残りや、定年後の暮らしの費用など、使い道を考える人も多いと考えられます。受け取る時期が近づいてから慌てないように、50代のうちにおおよその金額をつかんでおくと、家計の見通しを立てやすくなるでしょう。

3. 【自己都合と会社都合で退職金はどう違う?】42歳で辞めると会社都合は952.3万円

退職金は、辞め方によっても金額が変わります。同じモデルで、会社都合で辞めた場合と比べてみましょう。

3.1 会社都合のモデル退職金=42歳は952.3万円、52歳は2009.9万円

同調査の表で会社都合で辞めた場合のモデル退職金を見ると、42歳(勤続20年)は952.3万円、47歳(勤続25年)は1457.1万円、52歳(勤続30年)は2009.9万円、60歳(勤続38年)は2560.8万円でした。自己都合の金額を会社都合の金額で割ると、勤続3年(25歳)では約半分、勤続20年(42歳)では約8割、勤続30年(52歳)では約9割で、勤続年数が長いほど割合は高くなっています。

3.2 月収の何か月分?自己都合で42歳は14.8か月分、52歳は29.8か月分

自己都合の表では、退職金をその年齢のモデル所定内賃金で割った「月収換算」の月数も示されています。自己都合で辞めた場合、42歳は14.8か月分、47歳は21.8か月分、52歳は29.8か月分でした。月収の何か月分かで見ると、自分の給与と比べてイメージしやすくなるでしょう。

自己都合と会社都合で金額に違いがあるのは、退職金の計算に、辞めた理由ごとの決まりを設けている会社があるためと考えられます。自分の会社の決まりは、次の章で紹介するように、退職手当の定めがあれば就業規則で確かめることができます。

会社都合の退職は、自分で時期を選べないことも多いものです。一方で、自己都合で辞める場合は、自分で時期を決められる分、金額が少なくなることも含めて考えておく必要があるでしょう。辞め方によって金額がどのくらい変わるのかを知っておくと、いざというときにも落ち着いて判断しやすくなります。

4. 【退職金を確かめる】勤め先の就業規則と、自分の勤続年数を見ておく

最後に、自分の退職金を知るために確かめておきたいことを整理しておきましょう。

4.1 退職手当の定めがあれば就業規則に書かれる=労働基準法第89条

労働基準法第89条によると、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して行政官庁に届け出なければなりません。退職手当の定めをする場合は、適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払の方法、支払の時期を就業規則に記載することになっています。また、同法第106条では、使用者は就業規則を作業場の見やすい場所へ掲示したり、備え付けたり、書面を交付したりするなどの方法で、労働者に周知させなければならないとされています。常時10人以上が働く会社で退職手当の定めがあれば、その決まりは就業規則に書かれています。退職金の制度がない会社もあるため、まず定めがあるかを確かめましょう。

4.2 自分の勤続年数を数え、辞め方による計算の違いを書き出す

まず、入社した年から数えて、今の勤続年数と、あと5年・10年勤めた場合の勤続年数を書き出してみましょう。次に、就業規則の退職手当の定めで、自己都合と会社都合で計算が変わるかどうかや、一時金と年金のどちらで受け取るのかを確かめます。そして、退職金だけで判断するのではなく、今後のキャリアや、転職した場合の給与・働き方、家計の見通しもあわせて考えておきたいところです。退職金がいくらになりそうかを知っておくと、これからのマネープランを立てるときの土台にもなるでしょう。転職や退職を急いで決める前に、数字を一度書き出してみるだけでも、選べる道が見えやすくなります。家族がいる人は、家族とも共有しておくと、これからの暮らし方を一緒に考えるきっかけになるでしょう。

5. まとめにかえて

まずは、自分の勤続年数を数えて、早見表のどのあたりにいるのかを確かめてみましょう。次に、勤め先に退職手当の定めがあるかと、その決まりを就業規則で確かめます。そして、辞める時期や辞め方によって金額がどう変わるのかを書き出しておきましょう。そのうえで、今後のキャリアや暮らし方のなかで、退職金をどのように位置づけるかを考えておくとよいでしょう。

大企業の大卒モデルでは、自己都合で辞めた場合の退職金は42歳で766.4万円、52歳で1811万円でした。22歳で入社して定年まで勤めた大学卒の男性の平均は2134.9万円です。

退職金は、長く勤めた人ほど大きくなりやすいお金です。ただ、どの会社でどのくらい働くかは、退職金だけで決まるものではありません。今の金額と数年後の金額を知ったうえで、働き方とお金の両方から、これからの選択を考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

宮野 茉莉子