仕事を辞めたあと、雇用保険の失業手当を受け取れず、生活費に不安を抱えている人もいるでしょう。新しい仕事に向けて技能を身につけたくても、学んでいる間の収入がなければ一歩を踏み出しにくいものです。
厚生労働省の求職者支援制度では、雇用保険を受けられない人が無料の職業訓練を受けながら、月10万円の職業訓練受講給付金を受け取れます。2024年度に始まった求職者支援訓練の受講者は、3万8945人でした。
この記事では、職業訓練受講給付金の額と支給の要件を、厚生労働省の資料から確認します。訓練の分野ごとの就職率もあわせて見ていきましょう。
1. 職業訓練受講給付金は月10万円、通所手当と寄宿手当も
求職者支援制度は、雇用保険を受けられない求職者が、ハローワークの支援を受けながら無料の職業訓練に通える制度です。訓練を受けている間の生活を支えるのが、職業訓練受講給付金です。
制度が始まった2011年、厚生労働省は失業した人が直ちに生活保護に至ることなく再就職できるよう、求職者支援制度を「第2のセーフティネット」と位置づけていました。雇用保険と生活保護のあいだを支える制度というわけです。
1.1 職業訓練受講給付金を構成する3つの手当
- 職業訓練受講手当:月10万円
- 通所手当:訓練施設までの通所経路に応じた額(上限は月4万2500円)
- 寄宿手当:月1万700円(同居の家族と別居して寄宿する必要があるとハローワークが認めた場合)
訓練の受講料は無料ですが、テキスト代などは自己負担です。訓練期間は2か月から6か月で、6か月の訓練なら職業訓練受講手当は合わせて60万円になります。
給付金は、原則として訓練開始日から1か月ごとに区切った「支給単位期間」ごとに支給されます。期間が終わるたびに、ハローワークが指定した日に来所して支給申請と職業相談をする仕組みです。
1.2 対象になるのは雇用保険を受けられない人
厚生労働省は、給付金を受けて訓練を受ける人として、次のような人を挙げています。
- 雇用保険の適用がなかった離職者
- フリーランス・自営業を廃業した人
- 雇用保険の受給が終了した人
- 一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す人
訓練を受けるには、ハローワークに求職の申込みをしていることや、雇用保険の被保険者・受給資格者でないこと、労働の意思と能力があることなどが必要です。厚生労働省のよくあるご質問では、すぐに就職する意思がない人は受講できないとされています。
2. 職業訓練受講給付金の支給要件、本人収入は月8万円以下
給付金を受け取るには、収入や資産などの要件をすべて満たす必要があります。要件は支給単位期間ごとに確かめられます。
2.1 収入と資産の要件
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
ここでいう世帯には、本人のほか、同居または生計を一にする別居の配偶者、子、父母が含まれます。20歳未満で就学中の子の収入は0円とみなされます。
2.2 本人収入には年金も含まれる
本人収入は税引前の額で、賃金のほか各種年金も含まれます。よくあるご質問では、2か月分まとめて支給される年金13万円は、2で割った6万5000円をその月の収入として扱う例が示されています。
要件を満たさず給付金を受けられない人でも、職業訓練そのものは無料で受講できます。本人収入が月12万円以下で世帯収入が月34万円以下などの場合は、通所手当だけを受け取れることもあります。
2.3 出席と過去の受給に関する要件
- 訓練実施日すべてに出席している(やむを得ない理由で欠席し証明できる場合も、8割以上の出席が必要)
- 世帯の中に、同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により特定の給付金の支給を受けていない
- 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない
欠席がやむを得ない理由にあたるかは、原則として証明書類で判断されます。育児・介護を行う人や基礎コースを受講する人は、証明ができない欠席も含めて、8割以上出席していれば要件を満たします。