3. 高齢者世帯の所得の推移、2024年は2015年以降で最も高い336万1000円

国民生活基礎調査の高齢者世帯の所得は、2024年に前年から6.8%増えました。2015年以降の推移を並べます。

高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額の推移3/3

2015年から2024年までの高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額の推移を示した横棒グラフ

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」表7をもとにLIMO編集部作成

3.1 高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額の一覧

  • 2015年:308万1000円
  • 2016年:318万6000円
  • 2017年:334万9000円
  • 2018年:312万6000円
  • 2020年:332万9000円
  • 2021年:318万3000円
  • 2022年:304万9000円
  • 2023年:314万8000円
  • 2024年:336万1000円

グラフと一覧の年は所得の年(調査の前年)です。表7の注記によると、2015年の所得の数値は熊本県を除いたもので、2019年の所得は2020年の調査が実施されていないため数値がありません。

2022年の304万9000円から2年続けて増え、2017年の334万9000円を上回りました。

3.2 2021年から増えた17万8000円は、稼働所得の6万8000円増が最も大きい

2021年から2024年までに増えた17万8000円を、所得の種類別に分けると次のとおりです(差額はLIMO編集部で計算)。

  • 稼働所得:6万8000円増
  • 公的年金・恩給:6万円増
  • 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得:2万9000円増
  • 財産所得:2万2000円増
  • 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1000円減

4. 公的年金・恩給が総所得の100%を占める高齢者世帯は41.3%

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯を、総所得に占める公的年金・恩給の割合で分けると、次のとおりです(2025年調査)。

  • 20%未満:4.2%
  • 20〜40%未満:9.7%
  • 40〜60%未満:13.6%
  • 60〜80%未満:14.1%
  • 80〜100%未満:17.1%
  • 100%:41.3%

平均では61.3%ですが、所得のすべてが公的年金・恩給という世帯が4割を超えます。家計調査で見た働く高齢世帯とは、収入の組み立てが大きく違います。

5. 高齢者世帯の貯蓄と借入金、平均貯蓄額は1647万6000円

国民生活基礎調査では、2025年6月末日の貯蓄と借入金の状況も調べています。

5.1 高齢者世帯で貯蓄がある世帯は81.2%、3000万円以上は15.3%

高齢者世帯の1世帯当たり平均貯蓄額は1647万6000円で、全世帯の1414万8000円を上回りました。貯蓄がある世帯は81.2%、貯蓄がない世帯は9.9%です。貯蓄額の階級別では、3000万円以上が15.3%でした。

5.2 借入金がある高齢者世帯は6.5%

借入金がある高齢者世帯は6.5%で、借入金がない世帯は81.1%でした。1世帯当たり平均借入金額は34万7000円です。

6. 高齢者世帯の所得と年金の割合を自分の家計と比べるときに確かめたいこと

2つの調査の数字を自分の家計と並べる前に、前提を確かめておきましょう。

6.1 家計調査は月の額、国民生活基礎調査は年の額

家計調査の数字は1か月の平均で、国民生活基礎調査の所得は1年間の合計です。対象も、家計調査は世帯主が勤めている二人以上の世帯、国民生活基礎調査の高齢者世帯は65歳以上の者のみの世帯などで、同じではありません。

6.2 年金から差し引かれるものがある

どちらの調査も、税金や社会保険料を差し引く前の額です。年金からは、所得税や住民税、介護保険料、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料が差し引かれることがあり、実際に振り込まれる額は年金振込通知書などで確かめられます。

7. まとめ

家計調査(2025年)では、世帯主が70歳以上の勤労者世帯の公的年金給付が月18万148円で、世帯主の勤め先収入の17万9243円を上回りました。国民生活基礎調査(2025年)の高齢者世帯では、2024年の所得336万1000円のうち公的年金・恩給が61.3%を占めています。

何歳まで働くかで、家計に占める年金の比重は大きく変わります。ねんきん定期便の見込額と、働いて得られる収入の見通しを並べて、自分の世帯の組み立てを確かめておくと安心です。

参考資料

鶴田 綾