65歳を過ぎてからも、給与と年金の両方を受け取りながら暮らす家庭があります。働く高齢世帯の収入のうち、年金がどのくらいを占めているのか気になる人もいるでしょう。
総務省が2026年2月に公表した「家計調査(家計収支編)2025年」では、世帯主が70歳以上の勤労者世帯の公的年金給付が月18万148円となり、世帯主の勤め先収入の17万9243円を上回りました。
この記事では、世帯主の年齢階級別に勤め先収入と公的年金給付を並べ、国民生活基礎調査で高齢者世帯の所得に占める公的年金・恩給の割合もあわせて確認します。
1. 世帯主が70歳以上の勤労者世帯は、公的年金給付が月18万148円で世帯主の勤め先収入を上回る
家計調査では、世帯主が会社や官公庁などに勤めている世帯を勤労者世帯として集計しています。世帯主が働いている高齢世帯の収入を、年齢階級別に見ていきます。
1.1 家計調査の勤労者世帯は、世帯主が勤めに出ている二人以上の世帯
ここで取り上げる数字は、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の1か月の平均です。公的年金給付は世帯主だけでなく、配偶者など世帯員全員が受け取った年金の合計です。
1.2 世帯主の年齢階級別の勤め先収入と公的年金給付
世帯主の年齢階級別に、世帯主の勤め先収入と世帯の公的年金給付を並べました。
【世帯主の勤め先収入/公的年金給付(1か月)】
- 55〜59歳:54万7421円/1万1834円
- 60〜64歳:40万3799円/2万5324円
- 65〜69歳:26万5176円/16万240円
- 70歳以上:17万9243円/18万148円
世帯主の勤め先収入は、55〜59歳から60〜64歳で約14万円、60〜64歳から65〜69歳で約14万円減っています。反対に公的年金給付は、老齢年金の受給が原則として始まる65歳以降の65〜69歳で月16万円台に増えました。
1.3 70歳以上の勤労者世帯の実収入は月42万6307円
世帯主が70歳以上の勤労者世帯の実収入は月42万6307円で、そのうち公的年金給付が18万148円、世帯主の勤め先収入が17万9243円です。配偶者の収入は3万646円でした。
働いている70歳以上の世帯でも、給与と年金がほぼ同じ額で家計を支えていることがわかります。世帯主の平均年齢は73.3歳です。
2. 国民生活基礎調査で見る高齢者世帯の所得、公的年金・恩給は61.3%
働いていない世帯も含めた高齢者世帯全体では、所得の多くを公的年金・恩給が占めます。厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」で確認します。
2.1 国民生活基礎調査の「高齢者世帯」は65歳以上の者のみか、18歳未満の者が加わった世帯
高齢者世帯の所得は、2024年1月1日から12月31日までの1年間の所得で、税金や社会保険料を差し引く前の額です。65歳以上の親と働き盛りの子が同居する世帯は、高齢者世帯に含まれません。
2.2 2024年の高齢者世帯の所得の種類別の金額と構成割合
2024年の高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額は336万1000円で、前年の314万8000円から上がりました。内訳は次のとおりです。
- 稼働所得:87万1000円(25.9%)
- 公的年金・恩給:205万9000円(61.3%)
- 財産所得:19万4000円(5.8%)
- 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万7000円(0.5%)
- 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得:21万9000円(6.5%)
稼働所得のうち、勤め先から受け取る給料や賞与などの雇用者所得は71万8000円でした。2021年は公的年金・恩給の割合が62.8%で、2024年は1.5ポイント下がっています。
家計調査では、世帯主が65〜69歳で働いている世帯の公的年金給付は月16万240円、70歳以上では18万148円でした。働いていない世帯も含む国民生活基礎調査の高齢者世帯では、所得の61.3%を公的年金・恩給が占めています。
自分の家計の見通しを立てるときは、ねんきん定期便で年金の見込額を確かめ、何歳まで働くかで勤め先からの収入がどう変わるかを書き出して並べると、年金の比重がつかみやすくなります。
ここからは、高齢者世帯の所得の推移と増えた分の内訳、公的年金・恩給だけで暮らす世帯の割合、貯蓄と借入金を確認します。