夫を亡くしたあと、遺族厚生年金に上乗せされる「中高齢寡婦加算」を受け取りながら暮らしている方もいるでしょう。この加算が65歳で終わると聞いて、65歳からの年金が大きく減るのではと心配になる方も多いのではないでしょうか。
日本年金機構によると、2026年度の中高齢寡婦加算は年63万5500円で、受け取れるのは65歳になるまでです。65歳からは、代わりに妻自身の老齢基礎年金が始まります。
この記事では、65歳で中高齢寡婦加算が終わったあと年金が増えるのか減るのか、その境目になる条件を2026年度の金額で整理します。
1. 中高齢寡婦加算は65歳で終わり、老齢基礎年金に切り替わる
中高齢寡婦加算は、夫を亡くした妻の遺族厚生年金に、65歳になるまで上乗せされる加算です。
妻が65歳になると自分の老齢基礎年金を受け取れるようになるため、それまでの生活を支える役割を持っています。
1.1 中高齢寡婦加算の対象と、2026年度の金額
中高齢寡婦加算を受け取れるのは、主に次のいずれかに当てはまる妻です。
- 夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない
- 子がいて遺族基礎年金を受けていたが、子が18歳の年度末を迎えるなどして遺族基礎年金が終わったときに、40歳以上65歳未満である
夫が老齢厚生年金の受給資格を満たして亡くなった場合は、夫の厚生年金の加入期間が原則20年以上あることも条件です。
加算額は、夫の年金額にかかわらず定額で、2026年度は年63万5500円(月約5万3000円)です。
1.2 今の50歳代は、65歳以降の「経過的寡婦加算」の対象外
65歳以降も一部の加算が続く「経過的寡婦加算」という仕組みもあります。ただし、対象は昭和31年4月1日以前に生まれた妻に限られます。
今の50歳代を含め、昭和31年4月2日以降に生まれた妻は、65歳になると中高齢寡婦加算がなくなり、加算に代わるものはありません。
2. 65歳以降の遺族厚生年金は「自分の年金が先」
65歳からは、妻自身の老齢年金と遺族厚生年金をあわせて受け取ります。このとき、自分の年金を先に受け取るルールがあります。
2.1 自分の老齢基礎年金は、そのまま上乗せされる
老齢基礎年金は、遺族厚生年金と組み合わせて受け取れます。遺族厚生年金が減らされることはありません。
老齢基礎年金は、国民年金の保険料を40年(480月)納めると2026年度は満額の年84万7300円です。未納の月があれば、その分だけ少なくなります。
2.2 自分の老齢厚生年金がある人は、その分だけ遺族厚生年金が減る
会社員として働いた期間があり、自分の老齢厚生年金を受け取れる人は、老齢厚生年金が全額支給されます。遺族厚生年金は、老齢厚生年金に相当する額が支給停止になります。
遺族厚生年金の額は、次のうち多いほうです。自分の老齢厚生年金がこれより少なければ、合計額は自分の厚生年金がない場合と変わりません。
- 夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3
- 夫の報酬比例部分の2分の1と、自分の老齢厚生年金の2分の1の合計
3. 増えるか減るかの境目は「国民年金の納付30年」
65歳で失う中高齢寡婦加算は年63万5500円、代わりに始まる老齢基礎年金は国民年金の納付月数に比例します。
納付が30年(360月)だと老齢基礎年金は年63万5475円で、加算とほぼ同じ額です。これより長く納めていれば65歳から年金は増え、短ければ減ると考えられます。
- 国民年金を40年納付:65歳から年21万1800円増える(手取りでは年18万9600円増)
- 国民年金の未納が20年:65歳から年21万1850円減る(手取りでは年22万2930円減)
自分の老齢厚生年金があっても、遺族厚生年金がその分減るため、多くの場合は境目に影響しません。ねんきん定期便で、国民年金の納付月数を確認しておきましょう。