総務省統計局が2026年9月20日に公表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、2025年の65歳以上の就業者数は943万人でした。22年続けて増え、過去最多になっています。65〜69歳では、2人に1人を超える54.5%が仕事をしています。
その一方で、仕事から離れて年金を中心に暮らす世帯もあるでしょう。そうした世帯は、毎月どのくらいの収入と支出でやりくりしているのでしょうか。働く人が増えているいまだからこそ、年金を中心にした家計の実際を知っておくと、自分たちがいつまで、どのくらい働くかを考える材料にもなります。
本記事では、総務省の家計調査から65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支と、65歳以上の無職世帯の貯蓄を確かめます。あわせて、国民年金・厚生年金の平均月額と、受け取る金額の個人差も見ていきます。平均だけでは見えにくいところとして、世帯主の年齢別に見た不足額や、貯蓄の中央値もあわせて紹介します。
この記事では、以下の記事の内容も引用・参考にしています。
なお、公的年金の制度や平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 65歳以上「無職夫婦世帯の生活費」はいくら?ひと月の消費支出は26万3979円、毎月4万2434円たりない
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」には、夫婦高齢者無職世帯(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)について、1か月あたりの平均的な家計が載っています。収入と支出に分けて見ていきましょう。
1.1 65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支の一覧(1か月平均の収入と支出)
毎月の平均収入:約25万4000円
- 実収入の合計:25万4395円
- うち社会保障給付(公的年金など):22万8614円
毎月の平均支出:約29万7000円
- 消費支出(食費・光熱費など):26万3979円
- 非消費支出(税金・社会保険料):3万2850円
支出合計:29万6829円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
1.2 65歳以上の無職夫婦世帯の収入は月25万4395円、89.9%が年金などの社会保障給付
家計調査で収入の中身を見ると、実収入の89.9%を公的年金などの社会保障給付が占めています。収入の大部分が、年金などで成り立っている暮らしといえるでしょう。税金や社会保険料を除いた、手取りにあたる可処分所得は22万1544円です。
1.3 65歳以上の無職夫婦世帯の生活費(消費支出)は月26万3979円、食料は7万8964円
生活費にあたる消費支出を費目別に見ると、食料が7万8964円と最も多く、消費支出の29.9%を占めます。食料の次に多い「その他の消費支出」(5万1341円)には、ほかの世帯への贈りものなどにあてる交際費も含まれるため、子どもや孫、親戚とのつきあいが多い世帯ほど、ふくらみやすい費目と考えられます。
実収入から非消費支出と消費支出を差し引くと、毎月4万2434円が足りない計算になります。1年分では50万9208円で、意識しておきたい金額でしょう。手取りに対する消費支出の割合(平均消費性向)は119.2%で、手取りを上回るお金を使っていることがわかります。この不足分は、貯蓄を取り崩すなどしてまかなっていると考えられます。消費支出のうち食料が3割近くを占めるため、食品の値上がりが続くと、家計への影響を受けやすいともいえるでしょう。
家計調査の数字は、多くの世帯をならした平均といえるでしょう。住まいが持ち家か賃貸か、どの地域に住んでいるかによっても、毎月の支出は大きく変わるでしょう。平均の不足額だけを見て心配するより、わが家の年金の振込額と毎月の支出を並べてみるほうが、これからの家計を具体的に考えやすくなります。
まずは1か月分のレシートや通帳の記録を集め、食費や交際費のように暮らし方で幅が出やすい費目から見ていくとよいでしょう。
ここまでをまとめると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、年金などの社会保障給付を中心とした月25万4395円の収入で暮らし、生活費(消費支出)は月26万3979円でした。税金や社会保険料も含めると毎月4万2434円が不足し、1年では50万9208円になります。
2. 生活費不足を補う貯蓄はどれくらい?65歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は2494万円で6年ぶりに減少。内訳は定期性預貯金778万円が最も多い
毎月の不足をまかなう貯蓄は、どのくらいあるのでしょうか。総務省の「家計調査報告 貯蓄・負債編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から、二人以上の世帯で世帯主が65歳以上の無職世帯について、貯蓄を見ていきます。1章の「夫婦のみの世帯」とは集計の範囲が違い、子どもなどと同居する世帯も含まれる点に注意しておきたいところです。
2.1 65歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は2020年2292万円、2024年2560万円、2025年2494万円
同資料によると、世帯主が65歳以上の無職世帯の1世帯あたりの貯蓄現在高は、2020年の2292万円から増え続け、2024年には2560万円になりました。2025年は2494万円で、前年より66万円、2.6%減っています。減少は6年ぶりです。
2.2 65歳以上の無職世帯の貯蓄の内訳、最も多いのは定期性預貯金の778万円で有価証券は510万円
2020年と比べると、定期性預貯金は920万円から142万円減りました。一方で、通貨性預貯金は148万円、有価証券は162万円増えています。預貯金だけでなく有価証券の金額も増えているため、わが家の貯蓄を見るときは、値動きのあるお金がどのくらいあるかも確かめておきたいところです。わが家の貯蓄も、すぐに使えるお金と、しばらく使う予定のないお金に分けて書き出しておくと、毎月の不足をどこからまかなうかを考えやすくなるでしょう。
なお、無職以外の世帯も含めた「世帯主が65歳以上の世帯」(二人以上の世帯)では、貯蓄の平均値と中央値が次のようになっています。
平均値と中央値の比較
- 平均値:2564万円
- 貯蓄保有世帯の中央値(※):1777万円
※貯蓄保有世帯の中央値とは、貯蓄現在高が「0」の世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の少ない方から順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高をいいます。
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
家計調査によると、世帯主が65歳以上の世帯(二人以上の世帯)全体のうち、貯蓄が2500万円以上の世帯は36.3%、300万円未満の世帯は14.9%です。平均は、貯蓄の多い一部の世帯に引き上げられやすいと考えられるため、わが家と比べるときは中央値もあわせて見ておくとよいでしょう。貯蓄の金額は、これまでの働き方や家族の事情によっても大きく変わります。

